「BtoB」や「BtoC」という言葉を聞いたことはあっても、「どういう意味なのかはよく分からない……」という方は多いのではないでしょうか?
BtoBやBtoCの意味を理解しておくと、ビジネスの構造について把握できるのはもちろん、就職活動の軸ができたり、それに基づいて自分の考えを整理しやすくなったりします。本記事では、BtoBやBtoCについて、違いやそれぞれの特徴について解説しています。
BtoB・BtoCとは?
BtoBやBtoCという言葉は、普段のテレビ番組やインターネットニュースなどで使われる機会がそこまで多くないため、あまりピンとこない方もいるでしょう。まずは言葉の定義や、それぞれの違いについて見ていきます。
BtoBとBtoCの定義
BtoBは企業向け、BtoCは一般消費者向けのビジネス(商取引)形態を指す言葉です。
BtoB
BtoBとは「Business to Business」の略で、企業間取引を意味します。企業が企業に向けて商品やサービスを提供するビジネスモデルで、「B2B」と表記されることもあります。
特に学生のうちは直接的にBtoBを主戦場としている企業と関わり合いがないことも多く、どのような事業を行っているのかわかりにくいかもしれません。BtoBは相手が個人ではなく企業であることから、1件あたりの取引単価が大きかったり、継続的な取引が見込みやすかったりといった特徴もあります。
BtoC
BtoCは「Business to Consumer」の略で、企業が商品やサービスを直接個人(一般消費者)に提供するビジネスモデルです。「B2C」と表記されることもあり、自分も消費者として利用する場合もあるため学生にもイメージしやすいと言えます。
例えば、レストランでの食事やアパレル店舗での商品購入、パッケージツアーの代金を旅行代理店に支払う場合などがBtoCに該当します。普段、個人として購入・利用するものは基本的にはBtoCのビジネスモデルです。
BtoBとBtoCの違い
BtoBとBtoCでは取引相手が異なるため、さまざまな違いがあります。例えば、商品やサービスの購入までの期間です。BtoBでは複数の人(あるいは部署)が購入時の合理性や費用対効果について検証した上で購入するため、時間がかかります。しかし、BtoCでは購入までの時間が短く、一瞬で決まる場合もあります。
また、BtoBのほうがBtoCよりも商品単価が高額になりやすいのも特徴です。就活する際にも、自分が取り扱う商品・サービスの単価が高いほうがよいのであれば、BtoBの事業を軸に企業を探してみましょう。
BtoBのビジネスモデルについて
続いて、BtoBのビジネスモデルについて、メリットやデメリット、課題などの観点から深掘りしていきます。
BtoBの主な特徴とメリット
BtoBは、商談相手が組織(企業)です。扱う商材は企業によりさまざまなので一概には言えませんが、1件あたりの単価はBtoCよりも高い傾向にあります。顧客のニーズが明確なことが多く、ターゲットの選定も比較的しやすいと言えます。
BtoBのメリットとしては、取引を一度だけでなく、継続して行える可能性が高いことが挙げられます。また、市場や取引相手の規模が大きいため、大きなリターンも狙いやすいでしょう。いったん波に乗れば、安定した利益を得やすいビジネスモデルです。
BtoBビジネスのデメリットや課題
BtoBで単価が高い商材を新規顧客に売るには、短期間ではなく、時間をかけて交渉する必要があります。一朝一夕では顧客と良好な信頼関係を築くのは難しく、顧客が社内で購入(発注)の手続きを進めるための時間も必要でしょう。契約までにかかる形式的なプロセスも多いため、利益に結び付けるまでには時間がかかりやすい点には注意が必要です。
また、単価が大きい点はメリットでもありますが、考慮すべき側面もあります。例えば、商材に欠陥が見つかった際の回収費用、新規商品の開発費用なども大きくなります。うまくいけば利益が大きい分、失敗した場合のリスクも高いと言えるでしょう。
BtoBの具体的な事例
BtoBは企業対企業のビジネスモデルのため、一般消費者からすると見えづらい点があるかもしれません。ただ、世の中の多くの企業はBtoBビジネスを行っています。
例えば、現在企業経営に不可欠なパソコンは、企業がメーカーなどから購入しています。販売元は、多くの企業に対してパソコンを販売することで利益を得ています。
また、ファーストフードでは食品や料理を提供するために多くの機械が必要です。その調理機械はメーカーなどから購入しており、故障時にはメンテナンスを依頼したりしています。
他にも、企業向けのコンサルティングサービスやWebサイト制作など、BtoBの事業は多種多様です。
BtoCのビジネスモデルについて
続いて、BtoCのビジネスモデルについて見てきましょう。
BtoCビジネスの主な特徴とメリット
BtoCは個人が相手なので、BtoBよりも商材単価が比較的安く、購買決定までの時間が短いのが特徴です。また、BtoCでは顧客個人の率直な声や意見が届きやすいという面もあります。
BtoCのメリットとしては、消費者の動向をとらえやすく、データなどでの分析を統計化しやすい点が挙げられます。商材単価がBtoBよりも安価なため、代金回収のリスクも相対的に低いと言えるでしょう。
BtoCビジネスのデメリットや課題
BtoCでは、顧客のニーズをいかにとらえるかが非常に重要です。マーケティングプロセスを間違ってしまうと、顧客が望む商材を提供できません。また、BtoCはBtoBと比べるとリピート率が低い傾向にあります。そのため、購入後のフォローも重要です。
BtoBでは合理的な判断に基づき商材購入の意思決定がなされるのに対し、BtoCでは必ずしも合理的な判断が行われるとは限りません。機能面だけでなく、例えば「CMに出ていたタレントが好きだから」といった理由で購入される場合もあります。
このように、BtoCの成功には顧客の感覚をつかむのが非常に重要と言えるでしょう。
BtoCの具体的な事例
BtoCは普段個人として利用するものが当てはまるため、学生にとってもなじみ深く、企業に身近さを感じるケースも多いはずです。
例えば、普段買い物をするスーパーやコンビニ、家電量販店、ドラックストア、ホテルなどはすべてBtoCに該当します。直接店舗に行かずにインターネット上で買い物が完結するインターネット通信販売(EC)なども、BtoCに分類されます。
また、有名なWebメディアやWebサービスなどもBtoCサービスの代表格と言えるでしょう。
BtoBとBtoCどちらの企業を選ぶべき?
就活をしていく上で、BtoBとBtoCのどちらを選ぶべきなのでしょうか?どちらも特徴やメリット・デメリットがあるため、一概にどちらが優れているというのはありません。
とはいえ、BtoBとBtoCのどちらを軸にするのかは、決めておいたほうが就活を成功させやすいでしょう。自分のやりたいことや将来のイメージなどを踏まえて考えてみてください。
より多くのユーザーに向けて価値提供したいならBtoC
BtoBよりもBtoCのほうが、より多くのユーザーに向けて価値を提供できます。直接的に多くのユーザー向けに仕事がしたい方は、BtoBよりBtoCのほうが向いているでしょう。
また、BtoCは「世の中の役に立っている」という実感を得やすいという特徴があります。自分が開発したり、販売に携わったりした商品が世の中に出回り、それを一般消費者が手に取っている姿を見ると、モチベーションが上がるかもしれません。
BtoCの企業は、知名度も高いです。テレビCMをやっていたり、身近に利用者が多かったりして、親近感がわきやすいでしょう。そういった企業の中で、より多くのユーザーに向けて影響力を持ち、価値を提供したい場合は、BtoC企業を軸に考えるのがよさそうです。
自分のセンスを活かしたい場合もBtoC
BtoCで大切なことは、顧客のニーズを的確につかみ、顧客の望むような、もしくは潜在的な要望に応えるような商材を企画・提供することです。また、商材を作り出すだけでなく、見込み顧客に対して広くアピールする必要があります。自社のWebサイト、テレビCM、SNS、Web広告などの中から適切なツールを選択し、情報発信によって顧客の心をつかまなければなりません。
そういったプロモーションやマーケティングを進める上では、センスが求められます。知識や分析ももちろん大切ですが、社会課題を見つけたり、特定のターゲットのニーズをかぎ分けたりするにはセンスが必要です。BtoCでは、BtoB以上にセンスを活かした仕事がしやすいため、自分のセンスを活かしたい場合もBtoCのほうが活躍できる場面は多いでしょう。
安定した売上を作りたいならBtoB
BtoBはBtoCと比べると顧客が固定化され、売上も安定させやすいという特徴があります。規模が大きな取引先が複数あればあるほど、経営基盤も安定していきます。世間的には無名でも、BtoBとして特定のジャンルにおいて世界最大級のシェアを獲得し、業界内で確固たる地位を築いている企業も珍しくありません。
安定した売上があるということは、雇用や賞与含めた収入が安定しているということ。どれだけ自分がしたい仕事をできたといっても、会社の経営が立ち行かなければ元も子もありません。
BtoBでは利益や経営基盤が盤石な企業がBtoCよりも多い傾向にあるため、安定を求める場合はBtoBのほうが間違いは少ないでしょう。
ビジネスサイドの知識やスキルを身に付けたいならBtoB
BtoBでは、顧客の抱えている現場課題や経営課題を見つけ、解決できるソリューションを提供する必要があります。そのためには、自社だけでなく他社についても深く知り、知識やスキルを高めなければなりません。時には別の会社や業界について調べ、見識を深めなければならない場合もあるでしょう。
また、交渉の相手も企業(に属する人)です。そのため、こちらもしっかりとビジネスルールを守り、適切に対応しなければなりません。
このように、BtoBではBtoC以上にビジネススキルや業界の知識が求められます。そういった知識・スキルを身に付け、成長していきたいのであれば、BtoBを選んだほうがよいでしょう。
その他の新たなビジネスモデル
近年では、D2C(Direct to Consumer)というビジネスモデルも盛り上がってきています。以下では、新たなビジネスモデルとして注目されるDtoC(D2C)について見ていきましょう。
最近のトレンド:D2C(Direct to Consumer)
D2Cは、2010年ごろにアメリカで誕生しました。デジタルテクノロジーの発展を背景に注目度が高まり、アメリカではD2Cの企業が爆発的に業績を伸ばした例も多くあります。
日本国内でも2010年頃からD2Cの企業が誕生していますが、注目され始めたのは2020年代前後。かなり最近ですが、その分勢いもあり、就活においてチェックする学生も増えてきています。
D2Cとは何か、その特徴とメリット
D2Cとは「Direct to Consumer」の略で、製造者が直接顧客と取引をするという意味の言葉です。BtoCと混同しがちですが、BtoCのBは企業全般を指します。一方のD2Cでは、企業ではなく製造者が顧客に対して取引をします。
D2Cの代表的なケースとしては、メーカーなどの製造者が自社ECサイトで商品を顧客に直接販売する例があります。従来は商品を製造者が作り、小売業などの仲介業者を介してそれを顧客に届けていました。D2CではECの販売のみに特化し、マーケティングも自社で行うなど、外部業者が介在する機会を限りなく減らすことが可能です。そうした仕組みにより、余計な費用の発生を防ぎ、高い利益率を確保しやすくなります。
また、自社でマーケティングをするため、SNSなどを活用したブランディングがしやすい点も魅力です。そもそも、D2CではSNSなどのデジタルツールをマーケティングや情報発信の軸にしています。他者を介さないため、的確に自社の伝えたいことを伝えられる、広告費を低く抑えられる、といったメリットがあります。
D2Cの具体的な事例とその成功要因
これまで多くの企業がD2Cのビジネスモデルで成功を収めています。具体的な事例と、その成功要因を確認していきましょう。
日本における成功事例としては、とあるアパレル企業が自社でECサイトを構築し、直接顧客と取引することで利益を確保しているケースが挙げられます。一般的にアパレル企業は商社や小売店に商品を卸した上で販売することが多いですが、この企業は自社で販売経路を確保しています。
この企業では、ユーザーを巻き込んで商品開発をしたり、参加型のイベントを開催したりと、顧客との関係を積極的に築いています。そうした活動がユーザーの「いい口コミ」として広がり、ブランドの魅力を拡大していると言えるでしょう。
まとめ
BtoBとBtoCの違いや特徴、メリットなどについて見てきました。BtoBにもBtoCにもそれぞれのメリット・デメリットがあり、働く上での魅力も異なります。
就活で企業を選ぶ際には、「軸を作ること」が大切です。軸があることでぶれずに就活を進めることができ、結果的に成功する可能性が高まります。
軸は人によってさまざまですが、BtoBかBtoCといった観点から自分に合った企業を探すのも有効です。BtoBとBtoCについて、しっかりとその特徴や違いについて理解しておきましょう。
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