「リスケしてください」「○○はマストでお願いします」といった、いわゆる「ビジネス用語」を聞いたことはあるでしょうか。
この記事では、ビジネスの場面において特に聞く場面が多い単語を紹介します。
ビジネス用語とは?
業務上使われるカタカナ用語・略語のこと
ビジネス用語とは、業務上で使われるカタカナ用語や略語のことです。
「マスト」のように英語をそのままカタカナ読みにしたものもあれば、「オンスケ」のように、複雑な成り立ちから日本独自のワードとして浸透したものもあります。ビジネスシーンでのみ成立する言語のようになっているケースも多く存在します。
日本語に比べてニュアンスを伝えやすい
ビジネス単語に慣れていない場合、「日本語でも言えることを別の単語に言い換える意味はあるの?」と疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。しかし、業務中にビジネス単語に触れているうちに、一つのビジネス用語が複数の細かいニュアンスを内包しており、日本語に置き換えることが意外に難しいと気付くことがあります。
ITベンチャーや外資系企業でよく使われる
ビジネス用語は、特にITベンチャーや外資系企業で使われることが多い傾向にあります。ITベンチャーでは、プログラミングやそれに紐づく単語は基本的に英語であること、外資系企業では日本語と英語両方を使う機会が多く、細かいニュアンスの差を埋めるために日本語と英語が混ざったコミュニケーションをしがちであること、が主な理由です。
近年では伝統的な企業でも活用され始めている
会議やチャットでのコミュニケーションを円滑に進めるにあたって、ビジネス用語は非常に優秀です。
近年は、転職などで「文化の伝搬」が起こりやすくなっています。昔はITベンチャーや外資系企業でのみ使われていた用語も、今はそれ以外の企業にも浸透してきており、年々その風潮は加速しています。
頻出しがちなビジネス用語を覚えたうえで適切な場面で使うことができれば、効率的なコミュニケーションができるようになるでしょう。
頻出ビジネス用語30選
業務上使われることの多いビジネス用語について、紹介します。
1.KPI
KPIは「Key Performance Indicator」の略語で、日本語では「重要業績評価指標」という意味です。
主に、事業・プロジェクトの目標達成に向けて設定する重要な数値で、この数値で事業がうまくいっているかどうか判断できます。何を設定するかは目標によってさまざまですが、進捗を定量的に測れるようにするため”必ず数値化できる目標になっています。
2.KGI
KGIは「Key Goal Indicator」の略語で、日本語では「重要目標達成指標」と訳されることが多いです。
KPIが進捗を把握するための指標であることに対し、KGIは目標自体の達成度を表すものとして使われます。
例えば、営業などの場では「提案数」「新規クライアントの開拓数」などをKPIとして設定します。KPIを達成することで、達成できる「売上」がKGIで扱われるという関係です。
3.MTG
MTGは「meeting」の略語で、ミーティング(会議)を表します。用語の成り立ちはシンプルですが、記述する文字数やキーボードの打鍵数が少ないため、企業によってはかなり浸透している単語の一つです。
4.OJT
OJTは「On the Job Training」の略語で、日本語では「実業務を通してトレーニングしながら仕事を覚える」というような意味です。主に職場の上司や先輩がフォローする形で実業務に入り、直接やり方を指導することで教育のスピードを上げる、といった手法を指します。
5.アサイン
アサインは、英語の「assign」をそのままカタカナにした単語です。ビジネスでは、「(役職に)任命する」「(部署に)配属する」「(業務を)割り当てる」など、複数の意味で使われることが多いと言えます。
人員を動かす際の言い換えを極力なくし、シンプルにするために使われる単語なので、一つひとつの仕事のサイクルが早い企業で浸透していることが多いです。
6.アジェンダ
アジェンダは、主に会議における「議題」もしくは「議論すべき重要課題」という意味で使われます。
会議前に参加者の認識を合わせるため、議論すべき内容をまとめた資料を「アジェンダ」と呼ぶ場合もあります。
7.イニシアチブ
イニシアチブは、ビジネスの場では主に「主導権」のような意味で使われ、主に集団の中で目立つもの・活躍していたものに対して使われます。会議などにおいて率先して発言していた人間に対し、「○○がイニシアチブを取っている」という使われ方をします。
8.エスカレーション
エスカレーションとは、「会社組織における下層(部下)から上層(上司)へ相談・報告する」行為を指します。
重篤な障害や顧客からのクレームなど、下層では対応しきれない事象に対して使うことが多く、「相談・報告の後、上層から指示を受ける」までの一連の流れを指して「エスカレーションフロー」という場合もあります。
9.エビデンス
エビデンスとは、何らかの事象に対して「証明が可能である根拠・証拠」という意味で使われます。
会議における議事録は、発言を確かめるためのエビデンスです。また、システムに不具合が起きた際のスクリーンショットは、不具合が起きたことのエビデンスとなります。このように、特定の事柄に対しての裏付けとなるようなものを「エビデンス」と言います。幅広い業界で使用されている単語の一つです。
10.オンスケ
オンスケとは「on schedule」の略語で、「スケジュールが予定どおりに進行している」という意味です。「オンスケです」と伝えるだけで、「物事が事前の計画どおり、問題なく進んでいる」という意味になります。報告にかかる時間を圧縮したい際などに使われます。
11.クロージング
クロージングとは、英語の「closing」をカタカナ語読みにしたもので、ビジネス用語としては「終わり」「締めくくり」のような意味になります。
使われ方としては、営業における「契約完了までの最後のやりとり」という意味で使われることが一般的です。また、事業における「プロジェクトの停止までの作業」のような形で使われることがあります。使う場面はさまざまですが、どれも完了・終わらせるまでの最後の作業といった意味合いになります。
12.コンセンサス
コンセンサスとは、「同意」「合意」などを意味するビジネス用語です。主に特定の物事に対して意見の一致や認識の齟齬、前提の共有などができていることを「コンセンサスを取る(得る)」と言うことが多くなっています。
13.コンプライアンス
コンプライアンスとは、法令や倫理観、公序良俗などをまとめた単語です。「コンプライアンスを守る」のような使われ方をする場合が多く、カジュアルな場ではさらに縮めて「コンプラ」と言う場合もあります。
企業そのものに対してだけでなく、広告業界などで表に出す広告物などの表現に対して使うこともあり、どのような場で使われても意味は同じです。
14.シナジー
英語の「synergy」のカタカナ語で、「相乗効果」「メリットが生まれる程の相性の良さ」という意味があります。
以下のように、複数の物事の良い掛け合わせに対して「○○と□□はシナジーがある」「シナジーが期待できる」のような使われ方をされます。
- 企業同士の業務提携によって利益を生み出すとき
- 特定の部署同士が協力して成果を出しているときなど
15.スキーム
スキームは「枠組み」や「構想」のような意味で、ビジネスの場では「物事をどのように進めるかの計画」を指す言葉として使われます。例えば、事業としてのゴールが設定されている場合には、「それを実現するためにどういった手順を踏めばよいか」がスキームになります。
16.ステークホルダー
ステークホルダーとは、企業が活動をする際に「利益を得る人たち・損をする人たち」のすべてを指す言葉です。企業によって対象は異なりますが、「経営者や従業員」「社外の株主・顧客・取引先・競合企業」など、企業活動で影響を受けるすべての人々が範囲に含まれます。
17.ネット・グロス
「ネット」「グロス」は、主にマーケティングなどにおける広告費を算出する際の金額の表記に使われる用語です。ネットは「広告費の原価」、グロスは「ネットに制作費や手数料などすべての費用を合算した総額」を指します。
例として、原価80万円で代理店手数料が20万円の広告があった場合、80万円が「ネット」で手数料を合算した100万円が「グロス」となります。
18.バジェット
バジェットとは「予算」「予算案」を指す言葉で、意味も日本語の「予算」と同様です。事業に対して使うことができる金額を指して、「バジェット不足にならないように事業を進めよう」などと使われます。
19.バッファ
バッファは、ビジネスの場では「時間的・物量的なゆとり」という意味で使われる単語です。例として、業務達成に向けてスケジュールや人員的にまだ余裕がある場合を「バッファがある」と表現します。一方で、まったく余裕がない場合を「バッファがない」と表現します。
20.フィードバック(FB)
フィードバックとは、特定の事象や人員に対しての評価や意見を伝えることです。
使う場面は、「特定のプロジェクトに対して意見を言う」「上司が部下の業務上の評価を言う」などさまざまです。基本的には、ポジティブな結果につながるような発言である場合が多いと言えます
カジュアルな場では略語として「FB」と表現することもあり、「FBありがとうございます」のような形で使われることもあります。
21.フィックス(FIX)
フィックス(FIX)は、ビジネスの場面では主に「確定」「最終的な決定」と言う意味で使われる用語です。
校正を終えた資料を「フィックスした資料」、スケジュールの日時が確定したら「○日でフィックス」などと言います。完璧に確定し、今後更新されない物事に対して使われるケースが一般的です。「資料をFIXさせておいて」などのように、指示として使われる場面もあります。
22.ブラッシュアップ
ブラッシュアップは、何らかの完成が見えた物事に対し、「さらに良くする」という意味合いで使われる単語です。企画や計画、制作物が一通り完成したあとに「全体を見直し細部の質を高める」と言う意味で使われます。
23.ブルーオーシャン・レッドオーシャン
「ブルーオーシャン」「レッドオーシャン」は、その分野にどれだけ競合性があるか、競争性が高いかを表す単語です。例えば、「ブルーオーシャン」は競争相手が少なかったりいなかったりするため、少ないリスクで開拓・発展しやすい分野という意味になります。
一方、「レッドオーシャン」は競争相手が非常に多かったりすでに開拓・発展しきっていたりするため、新規参入するにはリスクが高い分野という意味です。「青い海は快適で泳ぎやすい」「赤い海は生き物の死骸で泳ぎにくい」などと考えると覚えやすいかもしれません。
24.ペルソナ
ペルソナとは、架空の顧客像や人格・人物設定を指すマーケティング用語です。年齢や職業などの大まかなデータから、休日はどう過ごしているか、趣味は何かなどの細かい設定を決める作業を「ペルソナを作る」と言います。「ペルソナ」を設定することで、自身の携わる事業に顧客がどう触れるかのイメージが付けやすくなります。
25.ボトルネック
ボトルネックとは、特定の事柄において、最も問題となっている点を表す単語です。業務のフローやプロジェクト全体の成功を妨げている一番の問題など、「これさえ解決できれば万事うまく進む」というような事象を指して使われます。
企業によっては使用頻度が多い単語でもあるため、略称として「ネック」と言う場合もあります。
26.マイルストーン
マイルストーンとは、事業や一つひとつの業務において最終的な目標を設定する際に、「目標に向かうまでに、何を完了していれば順調に進んでいると判断できるか」を確かめるために設定される「中間目標」「区切りとなる物事」を指す単語です。
27.マスト
マストは英語の「must」をそのままカタカナにしたもので、「最重要」「必須」「欠かせない」などを意味する用語です。大きなプロジェクトにおける必達すべき目標から、業務における絶対に抜かしてはいけない手順など、さまざまな場面で使われます。ビジネスにおいて、使用頻度が比較的高い部類です。
28.マター
マターは、その事柄について責任を持って引き受けている「担当範囲」「役割」のようなニュアンスで使われる単語です。例として、「この案件は営業部マターで」と言う使われ方をした場合、「この案件は営業部に責任を持ってほしい」といった意味合いになります。
29.リスクヘッジ
リスクヘッジとは、起こり得る何らかの危険や損害(リスク)に対して、それを避けたり軽減したりするための対策のことです。似たような単語として、リスクが起きた時に対応できるようなチーム・企業作りをすることを「リスクマネジメント」と言うこともあります。
30.リスケ
リスケとは、「リスケジュール」の略語で「スケジュールを組み直す」「日程を調整しなおすこと」を指します。すでに決定したあとの予定が、何らかの事情で日程を組み直す必要がある場合に、「リスケする」というような形で使うことが多いです。
主に、カジュアルな場で使われる単語です。フォーマルな場で使う場合は正式名称の「リスケジュール」か「日程の再設定」といった使い方をすることをおすすめします。
まとめ
特に頻出しやすいビジネス用語を30個紹介しました。
企業によってどの程度浸透しているか差異がありますが、業種や業務内容によっては他社の文化に触れる機会もあるため、覚えておいて損はないでしょう。インターンなどで「単語の意味をつかみかねて内容を把握できなかった……」と言うことがないように、頻出しやすい用語はなるべく覚えておくことをおすすめします。
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