大学入学後に進路変更したいときどうする?転部や転科について解説


大学に入学した後で、「やっぱり別のことが学びたい」「研究対象をリセットしたい」といった理由から、転部や転科をする学生もいます。転部・転科したという話は聞いたことがあっても、「具体的にはよく分からない」「実際どうなのか気になっている」という方もいるのではないでしょうか。

本記事では、大学入学後に進路変更したいときの選択肢である転部や転科の方法、転部・転科を志した際に考慮しておくべきポイントなどについて解説します。

転部・転科とは?

入学後に大学を変えることを「編入」と言いますが、転部・転科の場合、大学は変わりません。まずは転部・転科とは何なのかを見ていきましょう。

大学で学部や学科を変更すること

転部・転科とは、現在通っている大学内にて所属する学部や学科を変更することです。一般的には学部の中に学科がありますが、例えば「理工学部工学科」に通っている場合、法学部に変わる場合は「転部」、同じ理工学部内の経営工学科に変わる場合は「転科」となります。

転部も転科も一から大学受験をしなくて済みますが、試験があったり、一定以上の単位取得が条件とされていたりします。なお、転部や転科は学部・学科に受け入れ予定がなければ実現できない場合もあるので注意が必要です。

転籍扱いとなる

転部や転科と似た言葉に「転籍」があります。転籍とはその名の通り「籍が変わること」で、大学の場合、転部と転科の制度をまとめて転籍と表現する場合もあります。

大学ごとにフローが異なるため、詳細は学生課に確認

大学の状況によって転部・転科ができる場合もあればできない場合もあります。できる場合でも、大学によってフローが異なります。

転部・転科をしたい場合は、まずは空きがあるか、そして自分にその権利があるかなどを確認した上で、詳細を学生課に確認しましょう。

転部・転科を考えたときに意識すべきポイント

転部・転科を考えた際に意識すべきポイントについて確認しましょう。転部・転科はあくまでも同一大学内での転籍となるので、大学は変わりません。

大学が変わらないというのはメリットでもあります。新たに受験をやり直すのは大変ですし、1年生からやり直しになってしまう可能性も高いでしょう。一方、転部や転科の難易度は一般的にそこまで高くないので、しっかり勉強すればそれなりに高い確率で合格できると考えられます。

とはいえ、転部・転科にはデメリットもあります。詳しくは後述しますが、費用がかかったり、留年してしまったりするかもしれません。転部・転科を考える際には、メリットとデメリットをしっかり考慮しておきましょう。

転部・転科の目的を整理する

転部・転科を申し込む前に、必ずその目的を整理しましょう。自分は何に不満があるのか、なぜ転部・転科したいのか、転部・転科によってどのような大学生、そして社会人になりたいのかといった点です。

例えば、大学受験時にはあいまいだった将来就きたい職業が明確になり、そのために必要なスキルが現在の学部・学科では習得できない場合もあるかもしれません。目的が「理想の就職」であれば、転部・転科によってその目的が達成されたり、可能性が上がったりするかをよく考えておきましょう。

本当に転部・転科が必要なのか考える

何らかの目的があり、転部・転科の選択肢が頭に浮かんだとしても、即座に申し込むことはおすすめしません。転部・転科はあくまでも目的を達成するための手段に過ぎず、まずは他の手段で目的を達成できるか検討すべきです。

以下、転部・転科をしないで目的を達成する可能性がある方法を見ていきましょう。

他学部の授業を履修する

転部・転科をすると、今まで学べなかった分野を深く勉強できたり、興味のある研究に取り組めたりします。ただ、多くの大学では「他学部履修」という制度があります。他学部履修とは、自分が所属する以外の学部の授業を受けられ、一定の単位数が認定される制度です。転部・転科をして学びたい内容があったとき、場合によっては他学部履修の制度でカバーできるかもしれません。

もちろん、「他学部の授業を好きなだけ履修できる」というわけではなく、他学部履修には大学や学部ごとに規定があります。転部・転科を決断する前に、他学部履修でも目的を達成できないか検討してみましょう。

聴講する

大学によっては、所属する学部以外の学生に対して、聴講を許可している場合があります。聴講制度は大学によってまちまちですが、社会人などに対して学習機会を提供するなど、世間一般に対して開かれた制度の場合もあります。聴講を利用することで、他学部や他大学の講義内容も身に付けられるでしょう。

一部大学では「聴講=他学部履修」といったように、単位として認定する場合もありますが、基本的には単位認定をしていないことが多いようです。

スクールに通う

学びたいことがはっきりしている場合、専門のスクールに通うのもおすすめです。もちろんお金はかかりますが、その分専門的な知識やスキルを習得でき、学習したい内容を効率的に学ぶことができるでしょう。

スクールはスキルアップや資格取得を目指す社会人も通っている場合があります。そのようなスクールなら、普段接することのない社会人とのつながりができるかもしれません。

インターンシップで実践的に学ぶ

転部・転科で学びたい内容が、もしかするとインターンシップで実践的に学べる可能性もあります。インターンシップとは、大学生が一時的に企業に入り、実際に業務やワークを体験したり、実務に関する話を聞いたりできる制度です。

一般的には、インターンシップを通して志望する企業の雰囲気や企業風土、仕事内容などを知ることができます。また、インターンシップの中で積極的に仕事を教えてくれる企業もあります。専門性の高いテーマに対して実務に取り組むことで、卒業後に役に立つような内容を身に付けられるかもしれません。

社会人とのつながりができる、さまざまな年代の人に出会えるなど、インターンシップのメリットは多岐にわたります。

書類選考や試験が必要なことを理解する

転部・転科をすると、入学試験を受け直すよりは容易に希望する学部・学科に移ることが可能です。とはいえ、転部・転科は誰でも簡単にできるわけではありません。大学によりますが、転部・転科には書類選考や試験が必要なことも多くあります

書類選考や試験を通過するには、対策を講じる必要があります。大学に通いながら転部・転科に向けて勉強する時間を確保するのは、それなりに負担が大きいと言えるかもしれません。

特に、文学部から情報理工学部といったようにまったく異なる分野への転部は難易度が高くなります。理系科目をもともと勉強していたならまだしも、転部してから基礎を身に付けるといった動きは現実的ではないでしょう。

追加費用がかかる場合も多い

転部・転科の場合、同じ大学なので入学金をあらためて支払う必要はありませんが、追加費用がかかる場合もあります。

まず、転部・転科にあたっては事務手続きを含めた諸経費がかかります。また、大学の授業料はすべての学部・学科で一律ではなく、同じ大学でも異なるケースが一般的です。特に私立大学の場合は顕著で、文系よりも理系のほうが高い傾向にあります。これは理系のほうが実習や実験が多いという側面があるからです。

事前に、転部・転科しようと考えている学部・学科の授業料や施設設備費などを確認しておきましょう。

留年が必要になるケースもある

転部先の必修科目を取得していないケースもあるため、結果的に留年となってしまうケースもあります。例えば、大学の卒業要件単位数が124単位とします。この124単位のうち、転部前の学部では50の必修科目をすべて取得していて、残り74単位を取れば卒業できたとしても、転部後の学部では50単位のうち必修科目が30単位しか該当しないかもしれません。

そうすると、必修単位として残り20単位、他で74単位の計114単位を取得する必要があります。

転部のタイミングにもよりますが、このように転部により取らなければならない単位数が通常よりも増え、留年が避けられないケースもあるのです。

就活の面接ではそこまで学部・学科を見られない

転部・転科の目的が就職活動に向けてという場合は、考え直したほうがよいかもしれません。そもそも、就活の面接では出身学部自体が選考結果に直結するわけではなく、そこでどういったことを学んだか、どういう考えでその学部に所属したのか、といった背景や目的、過程が重視されます。

新卒一括採用が多い日本において、大学生は将来性が重視されるため、同じ大学であればそこまで学部・学科を細かく見られないというのが現状です。

就活のために転部・転科をするなら、現状の学部で精一杯勉強しつつ、転部・転科を希望する学部・学科で学べる内容を独学で身に付けたほうが、努力ややる気を評価してもらえる可能性も高まるでしょう。

転部・転科をする方法

最後に、転部・転科をする方法について解説します。

1.学生課やWebサイトで要項を確認

転部や転科の流れについては、大学によってさまざまです。そのため、自分が通っている大学の学生課を訪ねたり、Webサイトを確認したりして、要件を確認する必要があります。

ここまで説明してきたように、転部・転科には費用がかかり、仮に転部できたとしても単位数の関係で留年せざるを得ないといったリスクはあります。学生課では手続き面はもちろん、こういった悩みや懸念点なども踏まえて相談に乗ってくれるので、積極的に活用しましょう。

2.転部・転科に必要な要件を満たしているか確認

転部・転科は、申し込んでも受け入れてもらえない場合があることを覚えておきましょう。転部・転科をするにあたっては、大学や学部・学科で履修状況などの基準があります。そのため、必修科目を落としていたり、転部・転科に必要な単位数が足りなかったりする場合、そもそも転部・転科の試験を受けられないかもしれません。

3.各種書類を用意する

転部・転科にあたっては、大学が指定する各種書類を用意する必要があります。例えば、早稲田大学の2023年度転部・転科試験の要項によると、学籍番号や氏名、保護者の氏名などを記載する「転部願」、転部を志願した理由などを記載する「転部志願者記録」、写真が必要です。

詳しくは自分が所属する大学の学生課やWebサイトを確認しましょう。

4.試験や面接の対策をする

転部・転科は書面を準備して申し込めば完了ではなく、一般的には試験や面接が行われます。試験は英語力や小論文などのほか、転部先の学部・学科で必修となる科目に関するものも実施されます。転部・転科の試験については、過去問や出題範囲・傾向などがあるため、詳細は学生課の職員に質問しましょう。

面接では、転部・転科の理由などについて質問されます。転部・転科をする目的を分かりやすく、また自分の意思をはっきりと伝えましょう。やる気をアピールし、転部・転科が自分にとって必要だという熱意を伝えることが大切です。その際には、具体的に自分がどのような分野に興味をもち、何を学びたいのかを明確にしておきましょう。

5.転部・転科申請が通ったら正式な手続き

転部・転科の試験や面接が終わり、無事に合格できたら正式な手続きに進みます。大学によって定められた文書を期限内に提出し、漏れがないように対応しましょう。

まとめ

転部・転科をすると同じ大学にいつつ、別の学部や学科に移って勉強することが可能です。一般入試を受け直すよりも手間が少ないなどのメリットはありますが、デメリットや注意すべき点もあります。

転部・転科を志した際は、まず目的を整理し、転部・転科を本当にしなければならないかを考えましょう。また、費用面や単位の確認、試験対策など、事前に準備しておくことも多くあります。転部・転科をする前に、親や大学の関係者、教授などと相談した上で、じっくり検討することをおすすめします。

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