デジタル技術の発展が目覚ましい現在において、企業が激しい競争を勝ち抜くにはDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が不可欠と言われています。DXの活用により業務が効率化されるだけでなく、ビジネスのあり方自体も変革できるかもしれません。
本記事ではDXの定義や重要性、大学生がDXを知っておくべき理由などについて解説しています。社会的にとても注目されているキーワードなので、就職活動中のみなさんもぜひ概要を理解しておきましょう。
DXとは?
「DX」というワードを初めて聞くという方もいるかもしれません。まずはDXとは何なのか、について確認していきましょう。
デジタル技術を活用した変革のこと
DXはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、翻訳すると「デジタル変革」という意味になります。デジタル技術を用いてビジネスや社会に浸透させ、人々の生活をより豊かなものに変えていくという意味合いを持つ言葉です。
AIやビッグデータなどの技術・情報を活用し、ビジネスとそれに関わる人々の生活を大きく一変させることを指すため、単にデジタル化を意味する「デジタイゼーション(Digitization)」や「デジタライぜーション(Digitalization)」とは意味合いが少し異なります。
デジタイゼーション | 局所的なデジタル化による効率化や価値向上を行うこと (例)ペーパー管理から、クラウド管理への移行など |
デジタライゼーション | デジタル技術を使い、一連のプロセスに対し価値提供を行うこと (例)デジカメやスマホ写真のデータをクラウド上で保管・管理するサービスなど |
デジタルトランスフォーメーション | デジタル技術を活用し、革新的な変化をもたらすこと (例)AIによる顧客情報管理サービス、ロボットやドローン技術を活用した完全無人配送システムなど |
最初に提唱したウメオ大学の教授による定義
DXという言葉を最初に提唱したのは、スウェーデンにあるウメオ大学のエリック・ストルターマン教授であると言われています。教授は、DXを「進化した情報技術が人々の生活の隅々にまで浸透することで、人間の暮らしがあらゆる面でよい方向に変革すること」と定義しています。
経産省による定義
経済産業省も、2018年に発表した『DX推進ガイドライン』の中でDXを定義しています。ガイドラインでは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と述べられています。
DX推進ガイドラインでは、DXを推進する上で経営者が押さえるべき事項に触れられており、「単なる改善のみならず、社内環境などを変革させること」とされています。
企業のITを活用した業務改善を指すことが多い
「変革」を意味するDXですが、近年では主にITを活用した業務改善を指す言葉として使われています。業務改善とは、社内のさまざまな課題や問題点を洗い出し、解決していく取り組みのこと。企業は業務改善によってより多くの利益を産み出せたり、社内全体の風土・働き方をより理想的な形に変えたりできるようになります。
ITを活用した業務改善の例としては、データのフォーマットや管理方法の一元化、テレワークによる作業効率化、書類のデジタル化などが挙げられ、これらもDXの事例とされることがあります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性
そもそも、企業はなぜDXに取り組まなければならないのでしょうか。以下ではDXの重要性について解説していきます。
業務効率化(生産性向上)につながる
DXをすると、企業全体の業務効率化につながります。業種や企業にもよりますが、少子高齢化の影響もあり、現在は人手不足が深刻化。社会的な需要があったとしても、それに対応できる人材がいないと、本来得られるはずの利益も生み出せません。そして残念ながら、社会全体として人手不足が解消される見込みは今のところ立っていません。
DXを導入すると業務効率化が進み、人手不足の解消につながります。例えばロボット技術の導入によって無人でのサービス提供が可能になり、リソース不足の解消につなげている事例もあります。
ビジネス環境の変化に適応できる
IT技術の進歩により、ビジネス環境は加速的に変化しています。こうした変化に取り残されないためにも、DXの推進は重要です。
協力企業がDXを推進している中、自社だけが対応できていないと、いずれ相手企業から見放されてしまうかもしれません。「ペーパーレス」や「脱ハンコ」の流れはその好例です。重要な協力企業が電子契約に移行しているにもかかわらず、自社が未対応では協力企業に対して「取引しづらい」という印象を与えてしまうかもしれません。
ビジネス全体がDXを推進する傾向があるため、それに合わせて自社でも進めていくのは自然な流れと言えるでしょう。
ユーザーの行動変容に適応できる
技術の進歩や情勢の変化により、ユーザーの行動も目まぐるしく変化しています。アナログな分析だけで、多様化かつ激しいユーザーの行動の変化を捉えることは困難です。
DXを実現すれば、そんなユーザーの行動変容にも適応可能です。一例として、ビッグテータを活用した顧客データや販売実績の分析にもとづくマーケティング施策や、IoTによるユーザー行動に関する膨大なデータ収集・処理などが挙げられます。
データは人が自力で分析することも可能ですが、そのようなアナログ対応は非常に時間がかかり、非効率です。人手不足の中、環境やコンプライアンスなどのあらゆる社会的要求に答え、企業間競争にも負けないようにするためには、DXなどを活用した効率化が不可欠と言えるでしょう。
ビジネスにおける選択肢が増やせる
最新デジタル技術を活用することにより、これまで難易度が高かったことも実現できるようになります。特に日本では少子高齢化による人材不足が大きな懸念材料となっていますが、DXを推進すれば、既存ビジネスモデルの一新や、新たなビジネスの検討・提供も可能になります。
大学生はDXを知っておくべき?
企業がDXを推進することにはさまざまなメリットがありますが、大学生もDXを知っておくと非常に役に立ちます。
大学生がDXを知っておくべき理由について見ていきましょう。
業界・企業研究のために必須の知識
業界や企業がDXに関してどういう取り組みをしているかは、就活生が知っておくべき情報です。ここまで紹介してきたとおり、DXを推進することで企業は業務を効率化でき、新たなビジネスチャンスの可能性を模索できます。DXを推進している企業は、まったく対応していない企業に比べて社会変革の波を乗り越えていきやすいとも言えるでしょう。
志望する企業がどのようにDXに向き合っているかを知ることで、企業への理解も深まります。加えて自身がしっかり情報を追っていれば、企業への共感度が高まったり、具体的な提案を検討したりすることにもつながるでしょう。
インターンシップ先の取り組みが参考になることも
DXについて知見を深める目的で、インターンシップを活用するのも有効です。DXを強く推進している企業のインターンシップでは、DXの実態についてじかに見たり学んだりすることができるため、よい経験になるでしょう。
DXに関する技術・取り組みに関する情報は更新されていくため、日々の情報のキャッチアップは怠らないようにしておきましょう。
就活でDXの知識が必要になることもある
DXは社会全体として注目されているテーマなので、就活中の面接で質問されることもあります。特に採用面接の初期段階でよくあるグループディスカッションにおいて、「今後DXをどう推進していくべきか」といったテーマが課されるケースも珍しくありません。
グループディスカッションでも面接でも、DXについて聞かれて「分かりません」では高評価を得られません。反対に、DXについての知見が深く、そこでグループメンバーや面接官などと的確なやりとりができれば、高評価も期待できるでしょう。
このように、DXについて学ぶことは、就活でも重要と言えます。
将来のキャリアのために身につけるスキルが分かるようになる
DXは今後さらにホットなテーマになっていくと考えられるため、DXに関するスキルを習得しておくとキャリアに役立つ可能性があります。
企業にとってDXはとても魅力的で、積極的に推進したいと考えています。しかし実態として、DXを推進できる人材が豊富な企業は決して多くありません。DXは推進したいものの、社員を一から教育するのは時間や費用・手間がかかります。
DXに関するスキルや知識は、就活だけでなく今後のキャリアにおいても無駄にはなりません。所属している企業で役に立てることはもちろん、転職する際にも多くの企業にアピールできるでしょう。
企業のDX取り組みを調べる方法3選
就活での企業選びには、いろいろな軸があります。福利厚生は整っているか、仕事内容は自分に合っているか、給料は希望通りか、勤務地はどこかなど、その基準は人それぞれ。そして、企業選びの観点の1つとしてDXも重要度が増してきています。
最後に、起業がDXをどのように取り組んでいるのかを調べる方法について紹介します。
「DX+企業名」でインターネット検索してみる
例えば「DX パーソルキャリア」と調べると、同社のDXへの取り組みに対する記事などが出てきます。これを読み込むことで、ある程度は企業のDXに対する取り組みも把握でき、ビジョンやミッションへの理解も深まるでしょう。
志望企業がDXをどう活用しているか。そして、場合によっては意外と知られていないDXを使ったビジネス展開などについても分かるかもしれません。
DXについては、2020年5月に施行された「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」に基づいた、DX認定制度というものがあります。これは国の指針に基づき、DXに関して優良な取り組みを実施している事業者を認定する制度です。
検索によって、このDX認定制度に認定されているかどうかも確認できるでしょう。
決算説明資料を読み込む
決算説明資料とは、企業が自社の決算の特徴を分かりやすく説明したものです。株主総会などに用いられる資料で、内容は各事業の状況や今後の業績予想など。多くの企業の決算説明資料はインターネット上で閲覧することができます。
昨今、多くの企業はDXに取り組み始めているので、決算説明資料にも「DXへの取り組み」といった項目が含まれていることがあります。気になる企業の決算説明資料を見れば、DXをどのように進めているのかを知ることができるでしょう。
インターンシップに参加して現場を経験する
インターンシップに参加することで、現場のDXに対する取り組みを体感できるかもしれません。
インターンシップの目的は就業体験です。実際に企業の中に入ることで、その企業がどのようにDXを進めているのか、あるいは進めていないのかを確認できます。また、ひとえにDXといっても、生産性を向上させたり、新たな付加価値が追加されたり、業務改善していたりと、取り組みは多種多様です。
上記した決算資料やWeb掲載ページと違い、インターンシップ中にわざわざ「ここのDXに取り組んでいる」という説明を受けることはあまりありません。そのため、「何をもってDXに取り組んでいると言えるか」「どの程度の取り組みなのか」を判断するための前提知識は必要です。
まとめ
IT企業のみならず、さまざまな業種・分野の企業が推進に取り組んでいるDX。DXによって業務効率化や新たなビジネスモデルの構築につながることもあり、積極的に取り組みたい企業は多いでしょう。そのため、変化が激しい今の時代において、企業におけるDXの重要性はますます増していくと考えられます。
大学生においても、DX自体や志望企業におけるDX推進状況を知ることで、業界・企業研究が進む、自分をアピールする武器になる、将来のキャリア形成にプラスとなる、といったメリットがあります。DXについてあまり知らなかったという方は、この機会にぜひ理解を深めてみてはいかがでしょうか。
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