英検は、日本における英語資格試験の中ではTOEICと並んで有名です。とはいえ、英検が英語の資格試験ということは知っていても、問題の内容や級ごとのレベルについてはあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では英検の概要や効率的な勉強方法、資格を持っていることでのメリット、英検の試験内容・構成などについて解説しています。英検を取得したいと考えている方は、ぜひこの記事を読んで英検への理解を深めましょう。
英検とは
英検とは「実用英語技能検定」の略で、日本国内では有名な英語資格試験の一つです。TOEICと同規模かそれ以上の受験者数がいるため、企業の人事担当者も英検を知らないはずはありません。書類選考や面接など、就職・転職の場面でも役に立つ英検について、まずは概要を見ていきましょう。
英検について
英検は、公益財団法人日本英語検定協会が運営している、幼児から大人まで幅広い年齢層を対象とした英語の技能検定試験です。現在は5級から1級までのレベルがあり、準1級と準2級を含めて難易度は7段階で設けられています。さらに小学生を対象とした英検Jr.もあり、自身の挑戦したい級を選択して受験できるのが特徴です。
英検2級以上の難易度は非常に高く、合格者は日常会話以上の優れた英語力を持っていると判断されます。そのため、受験にあたっては英検2級を目指す方が多いです。
また、2025年度からは級の新設が予定されており、高い壁があるとされていた2級と準2級の間に新しい難易度を加えることが発表されています。新設級は“高校生の学びに寄り添い、高校2年生にふさわしい英語力が身についていることを客観的に示す検定”を目指す施策であるようです。
1次試験の構成
英検の試験はリーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの4セクションで構成されており、1次試験ではリスニングと筆記試験、そして3級以上はライティングテストが実施されます。それぞれの概要を確認していきましょう。
リスニング
英検ではすべての級でリスニングの試験が実施されます。英会話やアナウンスなどを聞き、内容に関する質問に答えていく形式のテストです。質問は選択式で、聞いた内容に対する理解度を測ります。
3級までは2回放送される問題もありますが、準2級以降は1回しか放送されないため、聞き漏らしがないように集中する必要があります。
筆記試験
英検ではすべての級でリーディングや文法理解、語彙力を測る筆記試験が実施されます。英文の空欄を埋める適切な単語や表現を選ぶ、文法的に正しい文章を選ぶといった選択形式のテスト内容によって、文法知識や語彙力、読む力を測ります。
受験する級ごとに筆記試験に使える時間が異なるため、難易度に応じた対策をしてから挑みましょう。
ライティング(英作文)
英検3級以上からはライティングテストも実施されます。短い英作文を書くのが試験内容となっており、与えられたトピックに基づいて、自分の意見や考えを簡単な英語で表現させることが目的です。文章構成や文法の正確性、語彙の適切さなどといったポイントが評価対象になっています。
受験する級によって要求されるライティング量は異なりますが、いずれも日常生活や一般社会の問題といった幅広いジャンルから出題されるのが特徴です。日常的にニュースに触れておき、英語で考えを表現できるようにしておきましょう。
2次試験の構成
英検3級以降では、1次試験の合格後に2次試験が実施されます。
面接によるスピーキング
英検3級からの2次試験の内容は、面接形式でのスピーキングテストです。二次試験は長くても10分ほどで、面接の間は面接官と英語で応答を行います。例えば2級の2次試験では、まずは60語ほどで構成される英文を音読(パッセージ)し、次にその内容について質問が行われるといった流れで進みます。また、受検者自身の意見が問われることもあるので、自分の考えを英語で的確に伝える必要があります。
英検の日本における位置づけ
英検は、就職や進学において有効な資格として一定の人気を保っていましたが、一時期はTOEICがよりメジャーな英語資格として認識され、人気に陰りが出たこともありました。しかし近年では、英語で論文を書く能力が身につく、バランスよく英語スキルが身につくなどの理由で、再び人気を盛り返しています。英検は国内での認知度が高く、中学生以上で名前すら聞いたことがないという方はほとんどいないでしょう。難易度別に受験できるため対象者の範囲が幅広く、教育機関が学生に対して英検取得を推奨するケースも多いです。
学生のみならず企業においても、採用や昇進時の参考として英検のスコアを重視するケースがあるなど、キャリアにもいい影響を及ぼす場合があります。
英検の海外における位置づけ
英検は、主に日本国内で認知されている英語技能試験です。そのため、TOEFLやIELTSといった国際的な英語試験と比べると、限定的な資格であると言わざるを得ません。海外の一部の大学や教育機関では、日本人学生の英語力を評価する際の指標として英検の成績を参考にすることはありますが、英検の結果が直接的な評価基準として用いられることは少ないのが事実です。
とはいえ、英検2級以上を持ち、実際の英語力を評価者に伝えることができれば、相応の英語力を認めてもらえることでしょう。そのため、英検取得のための勉強がまったく無駄になることはありません。
英検の級の目安
英検の試験は級ごとに内容が異なります。それぞれの級の目安について解説していきます。
1級から5級まである
英検の級は、難易度が低い順に5級、4級、3級、準2級、2級、準1級、1級の7つがあります。すべての級でリスニングと筆記試験があり、また3級以上はライティング試験も追加されます。
総合的なスコアの目安
英検は7つの級があるため、それぞれで難易度や出題内容が異なります。難しい順に内容を見ていきましょう。
1級
最難関の1級は「大学上級程度」とされています。準1級までとは桁違いと言われることもあるほど、その難易度は高いです。試験のトピックとしては仮想通貨や遺伝子工学の話など、日本語でも理解が困難なものも少なくありません。とはいえ、困難であるがゆえに1級を持っていると、就職や転職市場でかなり有利に働きます。世界でも活躍できうる英語力の証明として、存分にアピールできるでしょう。
準1級
準1級は「大学中級程度」とされています。試験の内容は2級と大きくは変わりませんが、単語やライティングなどの難易度が高いです。1級レベルではないにせよ、準1級も十分に就活で活用できます。ネイティブスピーカーとの英語での交流も、そこまで高いハードルはないことでしょう。
2級
2級は「高校卒業程度」とされています。高校卒業程度ということで、2級を持っていると大学受験対策に役立ちます。日常会話レベルの会話を理解できる場面が多くなるため、就活においても一定のアピールポイントとなるでしょう。
また先述の通り、次の準2級と比べて2級の難易度が高いことから、2級と準2級の間に新しい難易度の級が新設される予定です。
準2級
準2級は「高校中級程度」とされています。準2級以上の級は、社会問題についての出題が多くなるのが特徴です。そのため、ここからは単語の知識のみならず、問題のトピックにまつわる知識もあるほうが有利となってくるでしょう。
3級
3級は「中学卒業程度」とされています。3級以下のレベルでは社会問題はあまり出題されず、好き嫌いや予定など、自分自身について話すための英語力がメインで問われます。
「中学卒業程度」と聞くと、大学生や大人だとレベルが低すぎるように感じるかもしれません。たしかに、就職や転職活動をするにあたって、3級の取得実績を履歴書に書いても有利に働くケースはまれです。しかし、自身の英語力を確かめるきっかけとして、3級の受験は非常に適しています。幅広い年齢の受験者がいる級であるため、年齢を問わず受検する意義はあるといえるでしょう。
4級
4級は「中学中級程度」とされています。英語の基礎の理解や、過去形や動詞の変化といった文法を適切に使いこなせるレベルが求められます。中学英語をマスターした証拠として、受検を検討してみるのもよいでしょう。
5級
5級は「中学初級程度」とされています。近年は学校の英語教育開始が早まっていることから、小学生が多く受検している級でもあります。難易度は低いですが、英語の勉強を始めたばかりでまずは英語検定試験に慣れたい方は、手始めにいかがでしょうか。
大学生なら2級以上が資格として有効なラインになる
大学生以上の年齢で、資格として評価されるのは2級からです。そのため、2級以上を保有している場合は積極的に履歴書へ記載しましょう。さらに、一般的には準1級であれば英語力が高い、1級であれば非常に高いといった評価を得やすいです。英検1級を持っている方は、英語がずば抜けて得意なスキルであると胸を張って言ってよいでしょう。
効果的な英検の勉強法
英検は、上級になればなるほど試験の難易度が高くなります。そのため、特に準1級や1級を受検する際には、しっかりと準備をした上で臨みたいところです。効果的な英検の勉強法について押さえておきましょう。
リスニング&スピーキング
リスニング&スピーキングは、英語を聞く習慣を作ったり、両者をセットで行ったりすることで効果的に学習することが可能です。
1.英語を聞く習慣を作る
英検はどの級でもリスニングとスピーキングのテストがあります。しっかりと得点を出すためには、英語に耳を慣らすことがもっとも重要です。日本における一般的な日常生活では、意識しない限り英語が勝手に耳に入る機会は決して多くありません。できるだけ毎日、英語に触れている時間を増やし、耳を英語に慣れさせるための習慣を持ちましょう。
例えば、英語音声で映画を見たり、海外のニュースやYouTubeを見たりといったように、生きた英語を能動的に聞く機会を増やすのがおすすめです。
2.スピーキングもセットで行う
英語を聞く習慣と合わせて、話すことも意識して取り組むようにしましょう。耳で聞いた言葉を改めて自分が口に出してみることで、頭の中での理解が進み、同時に発音の矯正もできます。
洋画や海外ニュースなどで取り入れた英単語やフレーズを真似て発声するのを繰り返しながら、自分の中に吸収していくと良いでしょう。
3.とにかく問題パターンをこなす
英検のテストでは、新たな趣向の問題は基本的に出題されず、過去に出た問題と似たような形式のものが出題される傾向にあります。そのため、とにかく問題パターンを数多くこなし、リスニングの問題形式に慣れるのが合格への近道です。できるだけ実際に問題を解いていくことで、耳が問題に慣れ、スムーズに回答できるようになります。
筆記試験&ライティング
筆記試験やライティングについても、一朝一夕の付け焼き刃ではなく、しっかりとした準備が大切です。
1.単語を覚える
筆記試験やライティングでは、知っている単語量をとにかく増やすことが大切です。文章を読むにあたって単語の意味が分からないと致命的なケースもあります。単語帳やアプリなどでインプットを増やすことに加えて、洋画や海外ニュースなどを通して英語に触れている際に出てくる分からない単語を調べていくのもおすすめです。一つひとつ理解を深めていきましょう。
2.フレーズを覚える
単語と同じく、知っているフレーズのパターンを増やすことも大切です。英語では提携のフレーズも多いため、覚えておくと非常に便利である反面、逆にフレーズを知らないと理解できないといったデメリットもあります。単語と並行して、基本的なフレーズも勉強しておきましょう。
映画や漫画などから慣用的なフレーズを見つけ次第、意味と合わせて覚えていくのもおすすめです。
3.文法を学ぶ
英検では文法問題が多く、また長文読解をする際にも文法理解は必須です。文法が分からないと、いくら単語を知っていても文章同士の意味がつながらないため、全体の意味を理解できません。文法は形が決まっているので、基礎からしっかり学びましょう。
4.長文読解力を強化する
英検では短時間で多くの長文を読解する必要があるため、読解スピードを上げる努力が必要です。長文読解に慣れていないと、苦手意識から読み進められなくなってしまう人もいます。反対に、一度慣れると、英語の文章を読むのが楽しくなるといったケースもあります。いろいろなツールを使って長文読解力を強化しましょう。
5.意見を日本語でまとめる練習をする
英検のライティングでは、英語で自分の考えや主張を表現しなければなりません。仮に英語で話す力があったとしても、そもそも意見をまとめられなければ、うまく話すことは不可能です。まずは自分の意見を日本語で伝えられるようにまとめる練習を行うことも大事です。
勉強するためのツール
英検は日本でメジャーな試験であるため、学習ツールが多いです。ここでは参考書、問題集、学習アプリについて特徴を見ていきましょう。
参考書
特に英語を一から勉強する場合は、参考書で基礎力をつけることが大切です。参考書では文章やフレーズなどが分かりやすく説明されているので、可能であれば書店で本をめくって、自分に合った参考書を選びましょう。
問題集
基礎力をある程度身につけたら、過去問での実践をおすすめします。時間を測りながら問題集を解くことで、自分の実力を知ることができ、試験日までに何をどれくらい勉強すれば良いのかの目安となるでしょう。
学習アプリ(おすすめ)
英検向けのスマホアプリは数多く出ており、コンテンツも充実しています。月額利用料のかかるものがほとんどですが、アプリのみで学習を完結できるほどに内容が充実しています。特にライティングやスピーキングについては独学の難易度が高いため、AIや講師がフィードバックしてくれるアプリはいい助けとなるでしょう。
英検ではスピーキングも大切ですが、自分だけで正確な発音ができているかを判別するのは決して簡単ではありません。アプリの中には、AIの音声認識による発音チェックやキーフレーズを使って発話を行うような、スピーキング力向上のためのコンテンツを提供しているものもあります。ほかにも、本番さながらに、音声質問に対して英語で回答をするといった模擬面接ができるアプリもあります。
アプリにはさまざまなものがありますので、自分が強化したい項目に対応したものを選んで、効率的に勉強を進めましょう。
英検における資格としてのメリット
英検で2級以上を取得しておけば、就活や転職などで有利に働くことがあります。英検における資格としてのメリットを確認しておきましょう。
就職市場における英検の価値
英検が合格の決め手になることはありませんが、英語力が必要な企業においては有効な資格となるでしょう。とはいえ、3級以下ではあまり意味を成しません。就活では少なくとも2級か準1級以上は欲しいところです。1級ともなれば、英語圏展開をしている企業としても、ぜひ欲しい人材という位置づけになるため、資格を取得した過程と合わせて積極的にアピールしていきましょう。
海外留学への活用
英検は海外の大学から認められている資格であるため、留学を検討している場合は活用できます。もちろん、実際に留学をした際にも、英検を学ぶ過程で得られた知識は大いに役立つはずです。
まとめ
英検はTOEICと並んで、日本の英語資格試験としては抜群の知名度を誇ります。級が上がるにつれて試験の難易度は上がりますが、2級以上であれば就活でアピールできるなど、活用の幅も広がります。
英検が気になる方は、本記事を参考にチャレンジしてみてください。
パーソルキャリアの新卒採用エントリーはこちら!
パーソルキャリアは“人々に「はたらく」を自分のものにする力を”というミッションのもと、「doda(デューダ)」をはじめとする国内最大規模のHRサービス等、はたらく人と組織に関わる幅広い領域のサービスを展開している会社です。
社員一人ひとりが”キャリアオーナーシップ”を持って自分のキャリアを自ら切り開き、大手ならではのリソースを駆使しながらもベンチャーのような裁量権を持って顧客の本質的な課題を解決をしています。
- ビジネス総合、プロダクト企画、エンジニアなど希望する職種コース別に採用選考を実施中!
- 気軽に就活対策、企業研究ができるイベントを多数開催中!