ドイツ語は、第二外国語として数多くの大学でカリキュラムに組み込まれています。ドイツは世界有数の経済大国であり、日本でもドイツ語をもとにした単語が多いため、日本人にとっても馴染み深い言語と言えるのではないでしょうか。本記事では、ドイツ語学習のメリットと将来性、言語の特徴、そして習得難易度について詳しく解説します。
ドイツ語学習のメリットと将来性
話者人口は比較的多い
ドイツ語は、世界で約1億人が母語として使用しています。英語やスペイン語、中国語ほどではありませんが、世界の主要言語の中では比較的多い話者人口と言えます。ドイツを中心にオーストリア、スイスなどの国々で公用語として使用されているほか、ヨーロッパ以外の地域でも一定数の話者がいます。
特にEU圏で話者人口が多い
EUでは人口の約20%がドイツ語を母語としており、英語に次ぐ第二言語としても広く使用されています。ドイツ語はヨーロッパの中心に位置するドイツを含む複数の国で公用語とされているため、EU圏内での移動や交流の際に非常に有用な言語と言えます。EU圏内では、ビジネスや観光、学術交流など、さまざまな場面でドイツ語を活用できる機会があるでしょう。EU圏内での活動を考えている方にとって、ドイツ語の習得は大きなアドバンテージとなります。
ドイツは世界有数の経済大国
ドイツは、GDPで世界第3位(2023年時点)を誇る、欧州最大の経済大国です。自動車産業や機械工学、化学産業など、多くの分野で世界をリードする企業を有しています。これらの産業は高度な技術と革新性で知られており、グローバル市場で大きな影響力を持っています。ドイツ語を習得することで、これらの産業においてビジネスチャンスが広がる可能性があります。
ビジネスでの将来性は限定的
ドイツ語の習得は確かに多くのメリットがありますが、ビジネスにおける将来性についてはやや限定的と言わざるを得ません。その理由の一つは、国際ビジネスの場面では英語が圧倒的に優勢であることです。ドイツ国内でも、多くの大企業が社内公用語として英語を採用しています。また、ドイツ企業が海外進出する際も、現地語や英語でのコミュニケーションが主流となっています。
とはいえ、EU圏においては英語に次ぐ第二言語としてドイツ語が使用されていることもあり、観光などにおいては非常に役に立つ言語であることに変わりはありません。その点では、非常に魅力的な言語であると言えるでしょう。
ドイツ語の特徴
名詞に性別がある
ドイツ語の最も特徴的な点は、名詞に文法上の性別があることです。すべての名詞は男性、女性、中性のいずれかに分類されます。これは、日本語や英語を母語とする学習者にとっては、最初は戸惑う要素かもしれません。
例えば、「der Tisch」(机)は男性名詞、「die Tür」(ドア)は女性名詞、「das Buch(本)」は中性名詞です。この性別は、冠詞や形容詞の変化にも影響を与えるため、文法的に重要な役割を果たします。
興味深いのは、必ずしも実際の性別と一致するわけではないことです。例えば、「das Mädchen」(少女)は中性名詞です。これは、「-chen」という指小辞(「小さい」という概念を表わす接辞語)が中性名詞を作るというルールによるものです。
語順変化がある
基本的な語順は英語と似ていますが、特定の接続詞や副詞を使用すると、動詞の位置が変わります。例えば、「Ich gehe nach Hause(私は家に帰ります)」という文では、動詞「gehe」は主語「Ich」の直後に来ます。しかし、「Weil ich müde bin, gehe ich nach Hause(疲れているので、私は家に帰ります)」という文では、従属節の動詞「bin」が文末に、主節の動詞「gehe」が主語「ich」の前に来ます。
また、ドイツ語では文の要素を強調するために語順を変えることがあります。例えば、「Heute gehe ich ins Kino(今日、私は映画館に行きます)」のように、時間を表す副詞「Heute」を文頭に置くことで「今日」という部分を強調できます。
名詞を大文字表記する
ドイツ語では、すべての名詞を大文字で始めます。これは、ほかの多くの言語には見られない独特のルールです。
例えば、「Der Hund läuft im Park(犬が公園で走っています)」という文では、「Hund」(犬)と「Park」(公園)が大文字で始まります。この規則は固有名詞だけでなく、一般名詞にも適用されます。
この特徴には、文章を読む際に「名詞を素早く識別できる」という利点があります。特に長い複合語が多いドイツ語では、この大文字表記が文の理解を助ける役割を果たしています。
例えば、「Donaudampfschifffahrtsgesellschaftskapitän(ドナウ川蒸気船会社の船長)」のような非常に長い複合語でも、大文字で始まっていることから一つの名詞であるのが一目で分かります。
また、動詞や形容詞が名詞化された場合も大文字で書きます。「das Laufen」(走ること)や「das Schöne」(美しいもの)などがその例です。これにより、品詞の変化も視覚的に理解しやすくなっています。
ただし、この規則には例外もあります。例えば、「viel Gutes tun」(多くの良いことをする)の「viel」のように、不定代名詞として使われる場合は小文字になります。
ドイツ語の習得難易度
英語より“やや”難しい
ドイツ語は英語と同じゲルマン語族に属していますが、習得難易度は英語よりもやや高いと言えます。両言語には共通点も多いものの、ドイツ語特有の文法規則や発音の違いが、初心者にとってはハードルとなることもあります。
例えば、ドイツ語には英語にない文法要素として、名詞の性別や格変化があります。「der」「die」「das」といった冠詞を適切に使い分ける必要があり、これらは名詞の性別によって変化します。また、文中での役割に応じて名詞の形が変わる格変化も、英語を母語とする学習者や、英語を学んできた学習者にとっては馴染みの薄い概念となります。
発音面では、英語にない音素もいくつか存在します。例えば、喉の奥で発音する「ch」音や、唇を丸めて発音する「ü」音などは、習得に時間がかかることがあります。また、長母音と短母音の区別も重要で、ここを間違えると伝えたいことの意味が変わってしまう場合もあります。
動詞変化が多く習得に時間がかかる
ドイツ語の動詞変化は、学習者にとって大きなハードルの一つです。人称や数、時制、法によって動詞の形が変化するため、覚えるべきパターンが多くなります。
例えば、現在形だけでも、「ich gehe」(私は行く)、「du gehst」(あなたは行く)、「er/sie/es geht」(彼/彼女/それは行く)というように、主語に応じて語尾が変化します。さらに、過去形、現在完了形、過去完了形、未来形などの時制や、接続法という仮定や願望を表すルールもあり、それぞれに応じた変化を覚える必要があります。
特に難しいのが不規則動詞です。「sein」(~である)や「haben」(持っている)といった基本的な動詞も不規則変化をするため、初心者は戸惑うことがあります。また、分離動詞と呼ばれる文中で前つづりが分離する動詞にも、ドイツ語特有の難しさがあると言えるでしょう。
文法が厳格で覚えることが多い
ドイツ語の文法は非常に体系的で論理的ですが、同時に厳格でもあります。そのため、習得には時間がかかり、多くの規則を覚える必要があります。
例えば、前述の名詞の性別や格変化に加え、形容詞の変化も複雑です。形容詞は、修飾する名詞の性別、数、格によって語尾が変化します。「ein großer Hund」(大きな犬)、「eine große Katze」(大きな猫)、「ein großes Haus」(大きな家)というように、同じ「大きな」という意味でも、名詞によって形が変わります。
また、語順のルールも厳密です。特に従属節では、定動詞が文末に来るという規則があり、これに慣れるまでには時間がかかります。「Ich weiß, dass er morgen kommt」(彼が明日来ることを私は知っています)のように、従属節の動詞「kommt」が最後に来ます。
まとめ
ドイツ語は、EU圏で広く使用され、経済的にも重要な言語です。しかし、その習得には一定の困難が伴います。名詞の性別、複雑な動詞変化、厳格な文法規則など、学習者にとってハードルとなる要素も数多くあります。一方で、これらの特徴を理解し習得することで、論理的で正確な表現力を身につられるでしょう。本記事がドイツ語に関心がある大学生の皆さんにとって参考になれば幸いです。
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