就職活動を進める上で、業界・業種について研究を深めることはとても重要です。なぜなら、業界研究をすることで自分の興味・適性がある就職先を絞り込めたり、説得力のある志望動機や自己PRを作成できたり、視野を広げることができたりするからです。
まずは大まかに各業界の特徴を知ることで、自分の希望や特徴と合っているかを確認できるようになります。そうすれば、就活をスムーズに進めることができるでしょう。本記事では、業界や業種の定義を説明した上で、代表的な業界について解説します。
業界・業種について
まずは業界や業種の定義について確認していきましょう。なお、業界や業種は法律などで明確に区分されているわけではなく、各情報発信元によって扱いや表現、分類などが異なるため注意が必要です。本記事では一般的な扱いに基づき、解説していきます。
業界とは
業界とは、世の中の仕事を大まかに仕事の内容や扱うサービスごとに分類したものです。世の中に存在する仕事は、基本的にはどこかの業界に属していると考えられます。「金融業界」「自動車業界」「食品業界」といったように区分されます。
業種とは
業種は業界をさらに細分化したもので、企業が携わる分野、つまり事業内容を指す言葉です。一つの業界の中にも多くの分野があり、そのそれぞれの分野を指す言葉が業種と言えます。「製造業」「小売業」などが当てはまります。
就活では「業界」で括られることが多い
就活においては、業種よりも業界で括られることが一般的です。まずは業界の特徴をつかむことを意識しましょう。
業界一覧
具体的に、各業界について解説していきます。
金融
金融業界とは、お金を管理したり、運用したり流通させたりする業界です。金融は「お金を持っている人が、お金が必要な人に対して融通する」という意味であり、具体的には、銀行、損害保険、生命保険、クレジットカード、証券、リースなどが金融業界の代表例として挙げられます。
すべての企業はお金を扱うので、金融業界の仕事はさまざまな会社や人と関わります。また、「実際に扱う商品が目に見えない」という特徴もあります。目に見えない商品を扱うことこそ金融業界の魅力であり、大変な面でもあります。
例えば製造業の営業職の場合、目に見える部品やプロダクトがあるため、魅力をアピールしやすいと言えます。しかし、金融業界では目に見えない商品を扱うため、顧客に対して見えない商品をいかにわかりやすく、魅力的に伝えられるかが重要です。
自動車
日本経済を支える自動車業界は、規模が大きな会社が多くあり、取引先も多岐にわたる点が特徴です。ひとえに自動車業界といっても幅広く、作るもので分類しただけでも自動車やバイクの車両、タイヤ、各種部品・付属品など多種多様です。また、これらを販売するディーラーやカー用品、レンタカーなども自動車業界に含まれます。
「自動車業界」なので、基本的には自動車を中心とした業界形成となりますが、自動車メーカーのみが大きな利益を上げているわけでもありません。自動車部品メーカーの中には、自動車メーカーの売上を超える業績をたたき出している会社もあります。
関係する会社が多いため、例えば一つの自動車メーカーの販売が好調だと、その下流工程にある部品メーカーやそれを運搬する物流業者など、各方面にその効果は波及していきます。また、近年は環境への意識が世界的に高まっており、EV(電気自動車)関連の企業も増えつつあります。
電子機器
電子機器業界は生活に必要な電化製品や電気用品を開発・販売したり、快適に使用するための研究を行ったりする業界です。家電に限らず、スマートフォンなどに搭載される電子部品もこの業界に含めて考えられます。
生活や社会活動において欠かせない商品を取り扱うため、不況であっても旅行やホテル業界などよりマイナスの影響を受けにくいと言えます。また、コロナ禍においてはテレワークの拡大にともなって自宅向けOA機器類の需要が急増するなど、一部においてビジネスモデルの転換も見受けられます。
資源・エネルギー
資源・エネルギー業界は、その名の通りエネルギーを扱う業界です。電力会社、ガス会社、石油会社などが該当します。人々の生活や企業活動に必要なエネルギーを生産・または調達し、安定的に送ることを使命としており、公共性が高い業界と言えるでしょう。
エネルギー業界は海外を含めさまざまな土地で働けるチャンスがあり、「人々の暮らしを支えている」という自覚が持ちやすいと言えるかもしれません。縮小傾向にあるとはいえ、社会的に必要な業界であることから、需要がなくなることもほぼないでしょう。
エネルギー業界を目指す場合は、志望する企業の将来性を考えるとともに、電力・ガス・石油とそれぞれで取り扱う資源や業務内容が異なるため、それぞれの特徴をしっかりと調べて志望動機や自己PRとつなげることが大切です。
食品
食品業界では、調味料や油などの原料、パンや冷凍食品などの加工食品、ビールやコーヒーなどの飲料といった品物の開発や製造をしています。食は人間にとって不可欠であることから、不況でもゆるぎない産業とされてきました。しかし、少子高齢化やコロナ禍にともなう消費行動の変化や物価上昇により、従来とは異なる対応も求められています。
また近年は「食の安全」について世間の関心が高まっており、従来以上の厳格な管理が必要になりました。異物混入がSNS経由でニュースになるように、思わぬところからネガティブな情報が拡散するリスクもあります。
食品業界を目指す人は、日々の食事や買い物などの中で、「自分は何に関心があるのか」「食を通して誰にどんな価値を提供したいのか」といった点に注目しつつ、業界研究を進めましょう。
薬・生活用品
薬・生活用品業界では、薬、ティッシュ・トイレットペーパーなどの日用品、食器などの台所用品や化粧品といった生活に欠かせない品物を扱っています。また、玩具や時計といった嗜好品の部類に入る商品も含まれます。
メーカーが品物を開発・製造し、卸業社が商品の流通を担い、小売業が販売するというように、業界の中でも役割によって多種多様な会社が存在しています。
薬と生活用品で、業界内の動向は異なります。製薬業界においては、高齢化社会による医療費負担を抑えるべく、国は継続的な薬価の引き下げを行っており、製薬業界の利益も低い水準に抑えられてきているのが課題の一つです。デジタル化や製薬以外の分野への参入を主要経営テーマに掲げる企業もあります。
一方の生活用品には安定した需要があるとはいえ、少子高齢化に伴う需要の低下や競争激化といった課題があります。今後は従来以上にマーケティングの重要性や高付加価値商品の開発が求められていくでしょう。
学生が薬・生活用品業界で就活を検討する場合は、こうした業界の動向を踏まえつつ近所のスーパーやドラッグストアで商品を眺め、企業の狙いや強みなどに考えを巡らせながら業界研究を行うとよいでしょう。
農業(畜産、水産など含む)
農業にも、多様な分野があります。農産物以外では花やお茶、肥料用作物の栽培なども農業にあたり、家畜や養蜂、服や鞄に使われる毛皮獣の飼育、実験用の動物の飼育なども同じ業界に含まれます。
農業の特徴は、会社員とは就業形態が大きく異なり、事業主として活動するケースが多いこと。個人事業主として農業を営む場合には明確な「上司」が存在せず、自分の裁量で仕事を進めることができます。こだわりの農作物が作れ、都会を離れて田舎暮らしを満喫できる点も人によってはメリットになるでしょう。
とはいえ、仕事内容を見ると肉体労働も多く、天候不順や自然災害によって売上に打撃を受けることもあります。農業を選択する場合、いい面だけでなく苦労するかもしれない面にも目を向けておく必要があるでしょう。
建設・不動産
建築・不動産業界は土地や建物などに関わるすべてを取り扱う業界です。都市開発を手がけるデベロッパー・ゼネコンや住宅・会社などを実際につくる建築会社、不動産を管理・販売・賃貸する不動産業者などが当てはまります。
会社の規模にもよりますが、扱う取引が大規模である場合が多く、営業が成功したり自分が関わった建物が完成したりした際には大きな喜びを感じられるでしょう。
建物関係は業務に資格が必要なケースが多いことから、入社後は積極的に資格取得に向けて勉強するとともに、就活の時点でも勉強しておくとアピール材料になります。
物流
物流業界は空運、海運、陸運をはじめ、鉄道や倉庫なども含まれます。文字通り「物の流れ」を扱う業界であり、商品の運搬を任務とし、生産者から消費者まで商品を届けるのが仕事です。昨今は燃料の高騰でコストがかなり増えている点と、トラックドライバーを中心に人手不足という点が課題になっています。
物を運ぶだけでなく、保管する倉庫も物流業界に含まれます。業界研究をする際には「全体としての流れ」をつかむようにしましょう。また、生産者と密接に関わる業界であることからコミュニケーション能力が求められると同時に、管理側にはマネジメント能力も不可欠です。
商社
商社は「製品を作るメーカー」と「実際に販売する小売業者」の間に立つ役割です。貿易や国内企業から製品を調達し、顧客が求める商品を小売店などに販売します。また仲介業だけでなく、販売チャネルの開拓や新たな物流ネットワークづくり、国際的なプロジェクトの実施など、業務範囲は多岐にわたります。
グローバルな舞台で活躍したい人や多くの関係者と連携しながら働きたい人が向いているでしょう。
なお、ひとえに商社といっても企業によって扱う商品は多種多様であり、また一つの会社の中でもさまざまな仕事があります。仲介したりチームで動いたりすることが多いため、利害調整や交渉を含めたコミュニケーション能力が求められるでしょう。
人材・HR
人材業界が提供している主なサービスは、企業と求人者をつなぐ人材紹介・派遣や求人・採用広告です。現在は雇用形態が多様化しているため、正社員や派遣社員だけでなく、フリーランスや顧問の活用、複業支援などを行うサービスも増えつつあります。
また、企業の人事制度や人材育成をサポートする人材コンサルティングも同業界のサービスに該当します。すべての領域を幅広くカバーしている大手企業が複数あり、特定領域に特化している企業も数多く存在する市場規模の大きい業界の一つです。パーソルキャリアも、人材領域を幅広くカバーする大手企業に該当します。
人材業界のサービスに共通しているのは、「はたらく人」に価値を提供する存在であるということ。人生においてはたらくことのウェイトが大きい現代において、新卒での就職活動、中途としての転職活動、職場内でのキャリアアップなど、人材企業はほぼすべての社会人に対して価値を提供できる機会があります。重要な人生の節目に関われるのは、人材業界ならではの大きな魅力でしょう。
生活・公共サービス
病院、介護、教育、育児といった生活の基礎になるものから、ウェディング、ペット、美容室などもこの業界に含まれます。警察官や消防士、官公庁や役所の職員といった公務員もここに該当します。
事務的な仕事から直接人と関わる仕事までさまざまですが、相手の立場や考えを尊重でき、社会のために働きたいと考える人に向いているでしょう。
娯楽・エンタメ
旅行、レジャー、ゲーム、音楽、スポーツ、インターネット広告、パチンコ・スロット、イベント会社などが当てはまります。少子高齢化の問題や不況、コロナ禍での厳しい状況はありますが、常に新たな可能性を秘めており、新しい体験を提供できるという魅力があります。
就活で面接に臨む際には、「好き」という気持ちを伝えることも大事ですが、趣味とリンクしやすい業界なだけにそれだけではライバルとなる求職者との差別化を図るには不十分です。なぜその業界なのか、その中でもなぜその会社なのかをしっかりと深堀りした上で、具体的に誰にどんな価値を提供したいのか考えるようにしましょう。
情報通信・インターネット
携帯電話会社などの通信業者や、SaaSなどのソフトウェア開発を行う会社、インターネットを通じてサービスを提供する会社などが当てはまります。いわゆる「IT業界」です。また、システムのメンテナンスや突発的な保守対応といった業務も含まれます。
常に最新の技術が導入されているため競争は激しいですが、その分刺激も多く、自分のスキルや知識を高め続けたい人に向いていると言えます。
その他、分類が難しいジャンルも増えてきている
ここまで解説してきた業界以外に、分類が難しいジャンルも増えてきています。例えば、NFTや脱炭素など近年トレンドになっているジャンルは、明確な定義が困難です。時代に応じて新しいジャンルがどんどん現れるため、枠にとらわれすぎないように注意しましょう。
まとめ
就活を成功させる上では、自己分析とともに業界分析も非常に重要です。世の中には多くの仕事があり、自分に合っている会社は簡単に見つけられないかもしれません。そんなときに自分が目指す業界を絞っておくと、効率的に就活を進めることができます。
志望業界を絞り込むには、まずは業界のことを知るのが第一です。しっかりと情報を集め、業界研究を進めていきましょう。
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