そもそも業界研究とは
業界研究とは、さまざまな業界に関する情報を集め、それぞれの業界について特徴や規模、今後の動向などを理解することです。業界研究は、今まで知らなかった仕事を知ってキャリアの選択肢を広げるため、また志望する業界や企業を絞り込むために重要な作業であるといえます。
私たちが普段の生活で目にする企業は、全体のほんの一部に過ぎません。世の中には自分が想像している以上に数多くの企業が存在しています。その中から、自分が働きたい企業を見つけるためには、ある程度働きたい業界や仕事内容を絞っていく必要があるでしょう。
業界研究では、まずは浅く広く業界について学ぶことで、世の中にはどのような業界が存在し、どのような商品・サービスを提供しているのかを調べていきます。そして、調べる中で興味が湧いた業界については、さらに深く研究を行い、自分が働きたいと思う業界を絞っていくことになります。このように業界研究は、自己分析や企業分析と同じように、就活の中で必ず行うべき大切な作業だといえるでしょう。
業界研究の目的
業界研究を行う上で重要なのは、目的を理解して取り組むことです。業界研究には、ここまで調べたらOKというようなゴールがないため、目的を理解しないまま進めてしまうと、途中で挫折してしまったり、必要以上に情報を集め過ぎたりしてしまいます。そのような状況に陥らないためにも、ここでは業界研究の目的について、大きく2つに分けて解説していきます。
①業界への理解を深める
業界分析を行うことで、業界ごとの特徴や規模、今後の動向などについて理解を深めることができます。就活を始めるまでは、世の中にどのような企業が存在し、どのような商品・サービスを提供しているのか、ぼんやりとしかイメージできなかったという人も多いでしょう。このような状態で就活を進めてしまうと、自身のキャリアの選択肢を狭めることや、入社後のミスマッチにつながってしまう場合もあります。
業界研究を通して、今まで知らなかった業界を知り、それぞれの業界について正しく理解することで、自身の視野を広げることができます。また、誤った業界理解となってしまうのを防ぎ、入社後のミスマッチも起こりにくくなるでしょう。
②志望業界を見定める
業界研究の最大の目的は、志望業界を見定めることです。就職活動では、最終的に一つの企業に就職先を決めることになりますが、その過程では数ある企業の中から志望業界・企業を絞ることが必要です。業界研究によって幅広い業界について理解し、自分のやりたい仕事と合致する業界はどこなのかを考えることで、志望業界を絞ることができます。
このように、自己分析と並行して業界研究を行うことで、自分のやりたい仕事や進みたい方向性を実現できる業界を明確にし、志望業界を見定めることができるでしょう。
業界研究のメリット
これまでは、業界研究の目的について説明しました。ここからは、業界研究を行う具体的なメリットについて、2つの観点から解説していきます。
①将来の選択肢が広がる
業界研究の大きなメリットとして、今まで知らなかった仕事や業界に出合い、志望対象が広がるという点が挙げられます。就職活動を始める前に知っている業界や企業は全体のほんの一部に過ぎず、そうした少ない選択肢の中だけで最終的な就職先を決めてしまうと、自らのキャリアの可能性を狭めてしまう場合もあります。
将来の選択肢を少しでも広げるためには、業界研究を行うことで志望対象を広げ、たくさんの選択肢の中から就職先を選ぶことが重要です。また、業界研究を通して業界の動向を予測することで、自身の具体的なキャリアプランも描きやすくなります。
さらに、入社後には他業界の企業と関わりながら働くこともあるかもしれません。そういったときにも、業界研究で身につけた知識が役立つでしょう。
②企業研究につながる
業界研究によって志望する業界を絞った後は、企業研究を行い、その業界内の具体的な企業について理解を深めていきます。企業研究は、志望企業への理解を深めることで入社後のミスマッチを防ぐだけでなく、選考の際に志望意欲を明確に伝えるためにも重要になります。
企業研究では、企業ごとの特徴や今後の動向を調べていくことになりますが、業界研究によって業界の全体像を把握しておけば、その企業の業界内での立ち位置や特徴を理解しやすくなるでしょう。
業界研究のポイント
業界研究の目的とメリットが分かったところで、具体的には何から始めればよいのか、戸惑ってしまう人も多いのではないでしょうか。ここでは、業界研究に取り組む上で意識すべきポイントについて解説していきます。
まずは広く浅く調べる
まずは、興味のある業界から業界研究を始めてみましょう。「興味のある業界がない」という人は、自分の知っている企業が属する業界から研究してみるとよいでしょう。自分が知っている企業であれば、社会に対してどのような商品・サービスを提供しているのかイメージを持ちやすく、その業界のビジネスモデルを把握しやすくなります。
このときのポイントは、広く浅く調べることです。まずは、世の中にどのような業界が存在しているのかを知り、それぞれの業界の全体像を理解しましょう。また、業界トップ企業の売り上げ推移などを確認するだけでも、業界の動向を大まかに捉えることができます。そして、業界の全体像をざっくり理解できたら、自己分析を通じて見つけた自身の素質や価値観、業界・企業選びの軸と照らし合わせ、志望する業界を絞り込んでいくことになります。
この段階で複数の業界について知識を得ておけば、業界ごとの比較や企業研究にもつながるので、幅広い業界について調べてみることをおすすめします。
次に、狭く深く調べる
幅広く業界について調べた後は、いくつかの業界をピックアップしてさらに深く調べていきます。
具体的には、どのようなビジネスモデルの構造なのか、どのような企業が存在しているのか、他の業界との違いは何なのかなど、その業界の特徴を深掘りしてみましょう。業界を特徴づける業界研究ができれば、志望業界を見定められるだけでなく、選考の際の志望動機に厚みを出すことにもつながります。「なぜこの業界を志望するのか」といった問いに対して、他業界との違いを明確にしながら論理的に説明できるようになれば、ほかの就活生との差別化も図れます。
狭く深く調べる際のポイントは、自己分析と照らし合わせて研究を行うことです。例えば、自身の将来成し遂げたい目標と、業界の目指す方向性が合致していれば、志望業界となる可能性が高いといえます。また、その業界で求められる人材像について調べることもおすすめです。業界で求められる人材像が、自身の素養や強みと合致していれば、自分に合っている業界といえるでしょう。
業界の動向を把握する
業界分析では、業界の現状を理解するだけでなく、市場規模の推移や成長率などから今後の動向を分析していく必要があります。業界の動向を把握することは、自身のキャリア設計や市場価値を考えるためにも大切な作業です。
動向を分析する際には、売り上げや利益に加えて、商品・サービスの内容、採用人数の推移なども指標になります。また、業界内トップ企業の最新ニュースを調べると、業界の方向性について理解できることもあるでしょう。
業界の動向を把握する上では、社会情勢についてもある程度の理解を深めておく必要があります。「業界が伸びている=需要が増えている」という可能性が高いため、現在の社会ではどのようなサービスに需要があるのかを理解しておくことで、業界の動向も把握しやすくなるのではないでしょうか。
ビジネスモデルを正しく理解する
業界研究で陥りがちなのは、自身の想像で、業界について誤った理解をしてしまうことです。業界研究を進めていくと、調べる前と後で業界のイメージがまったく違っていたということはよくある話です。想像と現実のギャップを埋めるためにも、業界研究ではビジネスモデルの構造を正しく理解することが重要になります。
具体的には、どのような顧客に対して、どのような商品・サービスを、どのように提供しているのか研究し、利益を生み出す仕組みを正しく理解することが必要です。ビジネスモデルを理解できれば、実際の業務内容や求められる人材像などがイメージできるようになるでしょう。
その結果、その業界が自身の業界・企業選びの軸と合致しているのか判断しやすくなり、入社後のミスマッチも起こりにくくなります。また、業界で求められる人材像と自身の素養や強みが合致していれば、選考の場面で積極的にアピールできるようになるでしょう。
業界研究の手段
業界研究をする際には、さまざまな情報源から分析を行うことが重要です。今回は、業界研究に必要な情報収集の手段を6つ紹介します。
①業界団体のホームページ
業界団体のホームぺージは、業界の動向を調べる上で必要な情報源になります。「業界団体一覧」と検索すると、非常に多くの業界団体が存在するのが分かります。志望する業界の企業が属する団体のホームページを検索し、掲載されている情報をチェックしておきましょう。
②就職情報サイト
就職情報サイトでは、就活で必要な情報全般が掲載されています。業界研究に関するコンテンツの掲載や、業界ごとに企業を検索する機能もあるため、浅く広く業界を理解する際には有効です。
③ニュースサイト
社会情勢を把握するために必要な情報源になります。業界の動向は社会情勢に大きく左右されるため、最新ニュースのチェックは必要不可欠です。また、面接の際に時事問題として質問されることもあるので、チェックしておいて損はないでしょう。
④書籍や雑誌
『業界地図』
業界地図は、業界構造や主要企業・業績・提携関係などを視覚的に分かりやすくまとめたものです。パラパラと地図をめくるだけでも、各業界のざっくりとした特徴と動向を押さえられるので、自身が興味の持てる業界を見つけたい人にはおすすめの手段です。
『四季報』
四半期に一度刊行される本で、業界や企業ごとのデータがまとめて掲載されています。記者が独自の取材をもとに、企業のポイント分析を行っていることもあるため、どのような企業が属する業界なのかをざっくりと調べる際に有効です。
⑤大学のキャリアセンター
大学のキャリアセンターは、学生の就職支援や進路支援を行う部署です。学生は基本的に無料で利用できるので、気軽にサポートを受けられるのが特徴です。また、業界研究に関するセミナーや講演会なども開催されるため、業界研究に必要な知識を学ぶにはピッタリです。
⑥合同企業説明会に参加する
合同企業説明会は、1つの会場でさまざまな企業の説明会に参加できる機会になります。説明会と聞くと企業研究をイメージするかもしれませんが、説明の中では業界の動向についても触れられることがあるので、業界研究にも役立つ情報を入手できます。また、説明会は社員の声を聞ける貴重な機会にもなるため、業界のリアルな情報を手に入れたい人は、足を運んでみる価値があるでしょう。
まとめ
業界研究を行う前と後では、将来の選択肢の広さが大きく変わってきます。また、業界についての理解を深めることは、自身が志望するべき業界を絞り込む上でも重要な作業といえるでしょう。自らの将来の選択肢を広げ、自分のやりたい仕事と合致する企業を見定めるためにも、就活では業界研究を必ず行いましょう。ぜひ今回紹介したポイントを意識して、取り組んでみてください。
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