「PDCAサイクル」や「PDCAを回す」という言葉を聞いたことはあっても、「具体的に何をすればよいか分からない」という学生も多いのではないでしょうか?本記事でははじめにPDCAの意味合いについて説明した上で、PDCAの具体的な活用方法やそれを踏まえた就職活動でのアピール方法、自己PRのポイントについて解説しています。
PDCAとは
PDCAは、一般的には「PDCAサイクル」を指す言葉です。よく企業活動の中では「PDCAを回す」という表現が使われますが、PDCAサイクルを効果的に活用することでより大きな成果を上げることができるようになります。PDCAサイクルを理解して活用することは、社会に出てからはもちろん、学生時代や就活においても役立ちます。
PDCAサイクルの概念
PDCAは問題を解決するまでの道筋を改善していく方法です。一過性の行動ではなく、一つの課題を解決するために、ぐるぐると改善を回していくというイメージから「サイクル」という言葉が使われています。
もともとはものづくりの現場で使用されていましたが、現在は広く一般にも浸透している言葉です。
Plan→Do→ Check→ Actで業務改善を行う
PDCAの言葉の意味は、PはPlan(計画)、DはDo(実行)、CはCheck(評価)、AはAct(改善)です。業務改善を行うにあたっては、「とりあえずやってみる」という考え方も重要ですが、基本的には「とりあえずやって終わり」ではなく、このPDCAをうまく回していくことが求められます。
PDCAサイクルを回していくことで、速やかに問題を発見し、対応することが可能です。また、改善を一過性のものではなく、連続性のあるものにできます。
Plan(計画)
まずは「何が達成できたらゴールなのか」という計画を立てることから始まります。最終的に達成したい大きな目標を掲げ、その目標達成に向けて「何をどのくらいのペースで積み上げていけば良いか」を考えるのが、PDCAのPlanに該当する内容です。ここでは粒度が多少荒くても良いので、実行可能な範囲で計画を立てるようにしましょう。
例えば、「1年後までに100万円の貯金を作りたい」と考えたとします。今行っているアルバイトなどのお金を稼ぐ手段を使い、「毎月10万円を貯金に回すこと」を行動目標に設定すれば、1年後には120万円の貯金が可能になると想定できます。計画を立てたら、あとは実行に移すのみです。
Do(実行)
計画を立てるだけでは、まだ何も実態は変わっていません。そこから計画に基づいて行動することで、目標達成に近づくことが可能になります。そのアクションが、Doにあたります。
先述した目標設定を例に挙げれば、毎月10万円を貯金していくこと(そのための工夫や努力)が実行内容です。ひとまず目標達成に向けてひたすらに行動しましょう。
Check(評価)
計画を立て、実行した後は、それが計画通りできているかどうかを評価する、すなわちCheckすることが大切です。実際の行動と成果の度合いを見比べ、期限内に「最終的な目標」に到達し得るのかを分析しましょう。
目標の100万円に向けて毎月10万円の貯金を頑張ってはみたものの、実際は想定外の出費がかさんで月8万円しか貯金できなかった――といった場合、8万円×12カ月=96万円となるため100万円には到達しないことがわかります。こういった場合は、目標設定を下げるか行動を見直す必要が出てきます。アルバイトの出勤を増やす、交際費などの出費を抑える、といった取れる手段を考え、次の行動に活かすのがこのフェーズです。
Act(改善/再実行)
Checkで出た課題と対策を踏まえて、改善のための行動に移していく段階がActです。「月10万円貯金する」という目標に対して1カ月目の成果が8万円だった場合、残り11カ月で毎月約8万4,000円の貯金ができれば目標達成が見えてきます。そのためには、1カ月目で達成できた8万円に加え、追加で4,000円を捻出できれば良いという計算になります。これまでの行動は継続しつつ、「4,000円を浮かせること」を毎月の改善目標に設定し、実行していきます。
その後は、また1カ月後に効果測定を行い、2カ月目時点の成果で継続した場合に目標達成できるかをCheckし、改善点を踏まえて再実行する――この繰り返しをPDCAと呼びます。
ここまでPを起点としてPDCAサイクルを解説してきましたが、注意点として、PDCAは「Pで始まってAで終了するもの」というわけではありません。目標が達成するまでは、Aが終了してからもそこを新たな起点としてまたPを設定し、Dにつなげるといったように、サイクルとして回していきます。
PDCAスキルは就活でアピールできる?
PDCAスキルは社会人となってからも求められることが多いため、「活用して何かを達成した事例」があれば十分にアピールできる材料になると言えます。
スキルを活かしたエピソード・成果があれば武器になる
PDCAスキルを就活でアピールするには、PDCAサイクルを回したエピソードやそれによって得られた成果が必要です。適切な事例があれば、その事例や「どんな工夫・努力を行ったか」を面接などでアピールしましょう。なお、事例エピソードとしては、基本的には勉強でも、アルバイトでも、サークル活動でも何でも構いません。要は大きな目標を掲げて、PDCAを用いて成功できたかどうかが重要です。
スキルだけでは評価されない
PDCAは目標達成するための手段に過ぎません。「PDCAを使って何を達成したか」がなければ、PDCAをうまく活用できたとは言えません。PDCAを回すフローを知っている、理解して使えるというだけでなく、それを踏まえて一定の成果を上げることができるかが最も重要だと認識しましょう。
PDCAを回すことが目的になってしまうケースも少なくないため、あくまで達成したい目標に対して活用する手段である、という前提は忘れないようにしましょう。
就活でPDCAスキルをPRする方法
PDCAスキルを持っている学生は、企業としても欲しい人材です。しかし、ただ単に学生から「私はPDCAスキルに自信があります」と言われても、面接官からすると本当に適切なスキルを持っているのか判断できません。面接官に理解してもらうには、実際に自分が体験したエピソードを具体的に話していくことが必要です。以下では、どのように自己PRするのが効果的かを解説していきます。
1.過去のエピソードを選択する
PDCAスキルをアピールする際に大切なのは、具体性を持って話せるかどうかです。あまり自分が関わっていない話をしても、深掘りされたときに答えないと、面接官に見透かされてしまいます。
自分が実際に行動し、「何かを達成できた」と言えるような過去のエピソードを思い返しましょう。エピソードの大小はあまり重要ではありません。目標と行動、「どのように改善を意識していたか」が伝えられれば十分です。
2.どのような改善を行ったかPDCAのフェーズごとに話す
持ち時間にもよりますが、可能であればPDCAサイクルをそれぞれのフェーズごとに話していきましょう。以下では具体的な事例として、「ライフプランナーになるためにファイナンシャルプランナーの資格を取得した」という事例を用いて解説していきます。
Plan:どのように仮説を立てたか
はじめに目的や目標について論理的に説明する必要があります。今回の目標は「ライフプランナーになる」こと。そのためにはファイナンシャルプランナーの資格が必要、または持っていることで必ずプラスになるという内容を、順を追って説明すれば良いでしょう。
そして、資格取得のための計画について説明します。例えば、「12月の試験に合格するため、全6科目について勉強期間が半年必要と考えました。6月から通信教育で勉強を開始、毎月1科目ずつマスターし、計画的に知識を増やしていくこととしました」などです。
Do:どのように実行をしたか
続いては、実行についてです。立てた計画について、どのような工夫や努力をして目標に向かっていったのかを伝えます。例えば、「サークルやバイトが忙しいときもありましたが、それでも必ずテキストを1ページは進めることを心がけました。また、分からない内容については、厚生労働省のホームページなどを見て徹底的に調べ、理解を深めました」などのような、具体的な行動を挙げましょう。
Check:実行した成果・結果をどのように評価したか
実行していく中で、成果・結果をどのように評価したのかについても触れましょう。無理に話を作る必要はなく、順調に進んでいったのであれば「2週間に1回くらい、進捗を振り返るようにしました。完璧ではありませんでしたが、おおよそ計画通りに進められました」などと答えれば問題ありません。
計画を見直す必要があったなら、それまでの行動を踏まえて何が課題かを整理しましょう。例えば「3カ月目に理解度を確かめようと過去問テストに取り組んだものの、これまで通りのペースでは合格が厳しいと分かりました」「そして、自身が行ってきた毎日の勉強では振り返りや反復学習が疎かだと気づきました」というように、これまでの自分の行動を評価・分析しましょう。
大切なことは、立てた計画がその通りに進んでいるのかを確認しているかどうかです。そして、修正する必要があれば、臨機応変に対応する力が求められます。
Act:評価を踏まえてどのような改善アクションを設定したか
このフェーズでは、どのような改善策・対策を考えたかを伝えましょう。先の例でいくと、「日々の勉強の中で反復学習を強化する項目を追加しました」といったように、自身の進捗度を俯瞰しながら、あとどのくらい、何を努力すれば良いと考えたかを説明できるようにしてください。
計画的にPDCAを回す力はもちろん、突発的なことがあった際の対応力も社会人には必要です。当初の計画通りではなかったとしても、そこから修正し、結果的に成功した体験があればアピールできるでしょう。
3.改善したことで、どのような成果が出たかを伝える
最後に、PDCAサイクルを回して得られた成果について伝えましょう。今回の事例で言えば、「ファイナンシャルプランナーの資格取得」です。そのPDCAがあったからこそ達成することができたというエピソードであれば、PDCAスキルをアピールできます。
他にも、「部活の大会で地区大会優勝を目指し、チーム一丸となって優勝できた」「アルバイト先のレストランで顧客満足度を上げるためにアイデアを出し、採用された」など、PDCAを回して得られた成果をアピールしましょう。
PDCAスキルをアピールするときのポイント
自己PRとしても使えるPDCAスキルですが、面接などで話す場合はこれから解説するポイントを押さえるようにしてください。
スピーディに改善が回っていることが重要
PDCAサイクルで重要なことは、「スピーディに回っていること」です。いったん決めた計画に対し、停滞することなく行動が起こされ、着実に目標に向かっていなければなりません。PDCAサイクルは、どれか一つでも対応が遅れるとスムーズに進まず、結果として成果が得られる時期が延びたり、チャンスを逃したりする恐れがあります。
達成したい目標と期限のサイズに対して、一定の期間で振り返りが行えているかどうかで、進捗には大きな差が生まれてしまいます。1カ月後が目標期限の場合には、少なくとも週1回の振り返りを行うなど、振り返りのスピード感は重視しましょう。
社会人となった後も、改善をする際にはPDCAサイクルのスピードが重要です。日々の業務の中で責任をもってPDCAサイクルを回していくことで、問題解決能力や対応力、計画力などが磨かれていきます。
成果がしっかり出ていることも大切
就活でPDCAスキルをアピールする際は、成果がしっかりと出ている事例をピックアップしましょう。物事には結果と過程があり、必ずしも「結果が伴っていないからダメ」というわけではありません。しかし、、PDCAを回したのに目標達成ができなかったというのはあまり良いアピールにならないでしょう。「PDCAの回し方に課題があったのではないか」と思われてしまうからです。
「PDCAスキルを持っている」ことを証明するには、しっかりと成果が出ていることを示す必要があるでしょう。
やりきっているかどうかが高評価につながる
PDCAスキルを活用し、目標まで最後までやりきったかどうかが高評価につながるポイントです。途中で投げ出したり、大きな方向転換をしたりしないようにしましょう。
社会人になったら、困難な出来事が多く降りかかってくるもの。その際にも最後まで投げ出さず、工夫をしながら解決に向かっていくという姿勢やスキルが求められます。
まとめ
PDCAスキルは、就活でアピールすることができるスキルです。希望の企業に入社することをゴールに設定し、面接や選考をこなすなかでうまくいかなかったときには何が原因かを分析し、次の面接につなげる――といった行動にも落とし込めるため、ぜひ活用してみることをおすすめします。
就活時だけでなく、社会人となった後も活用できるスキルですので、あらゆる場面で意識して実践するようにしましょう。
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