そもそも留学って何?
留学とは、日本を出て海外の文化や言語、その地域特有の専門知識を学ぶことを指します。例えば、一部の国であいさつの際に、握手やハグなどのスキンシップでコミュニケーションを取る文化を見たことがある方も多いでしょう。そのような、日本人にはなじみのない文化について、国の歴史や背景を踏まえながら体験として学んでいけるのが留学です。
留学と海外旅行との違い
海外旅行と留学では、期間と目的が大きく異なります。海外旅行の場合、日本人の多くは5~10日前後と短めの滞在が平均的で、長期滞在するケースはまれだといえます。また目的も、日常から離れ、羽を伸ばして娯楽や観光を楽しむために海外へ足を運ぶということが多いようです。
一方で、海外留学は短期と長期で滞在期間を区分しますが、短期であっても3カ月程度と、旅行に比べて滞在期間が長い場合がほとんどです。特に長期留学では、約1年と長く滞在する人もいます。旅行とは異なり、勉強がメインとなるため、英語などの語学習得や、グローバル社会に向けた国際感覚を養うことが大きな目的となっています。
留学の種類
大きく2パターンに分かれる
留学には、大きく分けて2種類の留学方法があります。ここでは、それぞれどのような目的や背景があるのかを見ていきましょう。
①正規留学
正規留学とは、日本の大学に入学するのと同様に、外国の大学へ1年目から入学することです。正規留学は、入学するにあたって試験を受ける必要があります。当然、その国の学生に向けた試験となるため、すべて英語、または受験する国の言語で受けることになります。正規留学は入学のタイミングから相応の語学スキルが必要な半面、質の高い教育を受けられるのがメリットです。
②語学留学
語学留学とはその名のとおり、生きた言語を学ぶために行う留学です。入試などがない場合もあり、正規留学と違って語学力に不安がある場合も、比較的気軽にできる留学だといえます。しかしその半面、ハードルの低さから、正規留学に比べると言語の習得レベルにはバラつきがあるともいわれています。
留学するために必要なこと
留学の目的を明確にする
留学をするにあたって大切なことは、目的を持つことです。例えば、以下のような目的が代表例です。
- 語学力UP
- 海外の友人をつくりたい
- 新しい環境でチャレンジしたい
- 海外の文化に触れたい
- 就活でのアドバンテージをつくりたい
コストのかかる留学ですから、それ以上に価値のある目的を達成するため、何があってもこれだけは身につけて帰国するといった明確な目的意識を持って臨みましょう。
一定水準以上の語学力が必要
留学の種類や留学先のレベルによっては不要な場合もありますが、留学条件にTOEFLやIELTSでの一定水準以上の成績が必要な場合が多いようです。特に正規留学の場合は、入学の条件として英語のテストがあります。
必要な点数や入学の条件は、各大学によって異なります。正規留学するためには、TOEFLやIELTSで、一定以上のスコアを取っていることが必須の条件となるでしょう。一方で、短期大学、コミュニティカレッジなどでは入学試験がない場合や、基準が低いことも多いようです。自身の目指す留学先がどの程度の英語力を必要としているかを知り、それに向けて勉強をしておきましょう。
TOEFL(トーフル)とは
TOEFLとはアメリカのETS社が運営している試験です。120点満点で、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4つの技能を測ります。
難関大学に入学する際には、120点中最低でも100点は必要です。しかし、日本人のTOEFLの平均点は70点程度で、例えばシンガポールなどは95点以上が平均です。そのため、日本人には非常に難しいテストともいわれています。非英語圏を対象としたテストであるため、救済措置がなく、長い期間の勉強が必要です。
IELTS(アイエルツ)とは
IELTSはTOEFLと同じく英語圏への留学や就労するための英語力を測る英語試験です。この試験はTOEFLと採点基準が異なり、1.0~9.0のバンドスコアとなっており9.0が満点です。また、日本人の平均は6.0程度。IELTSを評価基準としている大学でも最低基準6.0~6.5程度としているところが多く、TOEFLに比べ日本人でも比較的スコアを出しやすいテストだといえるでしょう。
高校や大学での成績が必要
正規留学では、英語の試験の成績以外にも、日本の高校や大学での成績が求められます。いわゆる内申、GPAの点数が高いことを要求されることが多いようです。英語の試験と内申に加え、部活動や課外活動の実績も評価対象です。例えば、ボランティアやスポーツ大会で優勝していることなど、勉強以外の実績も評価されます。
そのようなことを評価する理由は、勉強だけでなく他の人と違う、突出したスキルや才能を持った人材を大学が求めているからです。
留学費用の用意をする
留学をする際には、学費だけでなく、期間中の生活費や物価を考えて準備する必要があります。例えば、オーストラリアの物価が高いのは有名ですが、1カ月の短期留学であっても30~50万円ほどの費用がかかるといわれています。一方、韓国など物価が低い国では1カ月あたり10~20万円程度と、留学する国によって大きな差があるでしょう。
主な留学先の半年間でかかる費用の目安
- アメリカ:100万~400万円
- イギリス:150万~450万円
- カナダ :100万~250万円
- 中国 :80万~120万円
- オーストラリア:100万~250万円
上記はあくまで目安のコストですが、アメリカやイギリスなど英語の本場ともいえる国への留学は、費用的にもハードルが高くなるでしょう。ただし、コストがかさみやすい国であっても、留学生が利用できる奨学金制度などを用意している場合があります。費用面で留学を悩んでいるのであれば、興味のある国や学校を調べ、奨学金が利用できるかをチェックしましょう。
留学のメリット
日本にいるより語学力が伸びやすい
留学をする一番のメリットとして、語学の習得速度が速いことが挙げられます。海外に滞在すると、当然、現地の言語を常に使うことになるからです。言語学習では、インプットだけでなく、アウトプットも大切なこと。外国語でのコミュニケーションがマストとされる環境に身を置くことで、よりスピーディーに語学を習得することができるでしょう。
海外に知り合いが増える
海外に留学することによって、現地の人と仲良くなり友人をつくることができます。相手の文化や基本的な考えを双方が共有することで、異文化の知識や価値観をより生で吸収できるため、見聞を広げるにはうってつけといえるでしょう。さらに、留学が終わったあとでも現地の友人たちとのコミュニティが継続すれば、継続的な言語学習にもつながり、メリットずくめだといえます。
異文化理解が深まる
海外に行くことによって、日本にはない異文化に触れる機会が得られるのも、大きなメリットです。日本では、考えの多様化が難しい場合もありますが、アメリカのような多民族国家になると、さまざまな文化が当たり前のように存在します。それぞれの立場や宗教など、まるで異なる人生を歩んできた人たちと交流すれば、これまでと違った価値観に出合えることは間違いありません。そうして培った国際感覚は、将来にも役立つことでしょう。
自信や度胸がつく
留学自体が大きな挑戦であり、留学することによって得た経験は、人生に大きな影響を与えます。これまで当たり前だった日本語での会話が通じない環境で、問題解決をする経験は何ものにも代え難いことでしょう。また、自らアプローチしなければ達成できないシーンも多く、行動すること自体への積極性が磨かれていきます。
将来の選択肢が増える
留学では、さまざまな目標や価値観を持った同じコミュニティの仲間と交流することで、自分自身の今後のキャリアについても見つめ直す機会がつくれるでしょう。留学で培った国際感覚や語学力、積極性などを基に、これまで考えたことがなかったような道に進むことも視野に入ってくるかもしれません。
就活でアピールできる
留学のメリットには、将来への選択肢が増えることも挙げられます。留学した先での経験や達成できたことが就職活動でのアピール材料になるなど、留学を経験していない人と比べて大きなアドバンテージとなるはずです。単に留学したことだけではなく、留学先で何を成し遂げたかについて、はっきりアピールできるようにしておきましょう。
留学のデメリット
費用と時間がかかる
留学の一番のデメリットは、お金と準備に時間がかかる点でしょう。留学先として名前をよく聞く諸外国は、物価や学費が高く日本で就学するよりもハイコストです。また留学するためには、TOEFLなど英語の試験や、高校・大学の内申、その他課外活動の実績などもまとめて大学に伝える必要があるため、時間を要してしまいます。
海外生活になじめないこともある
環境の変化は想像以上に心身にストレスを与えます。日本では当たり前のことが、海外では通用しない場合も多いため、生活環境の大きな変化になじめずに、留学を断念するケースも少なくありません。
ストレスを感じる場面は大きく分けて、食生活と言語の壁である場合が多いようです。口に合わない食べ物や食事のスタイルになじめないことを踏まえ、自分で料理が作れるようになっておくなど、ある程度の対策をしておきましょう。
また、現地の学生たちとコミュニケーションが取れず、うまく交友関係を築けないというケースもよくあります。新しい環境で思ったようにコミュニティになじめないときのために、何げない会話や相談相手として、日本にいる友人を頼れるようにお願いしておくとよいでしょう。
日本語力が落ちることも
留学先の言語に触れる機会が圧倒的に多くなるため、相対的に日本語を使うシーンが少なくなります。日本語を使わない期間が空けば空くほど、日本語でのコミュニケーションの取り方にブランクが生まれます。1年程度の留学ではそうそう起きませんが、長期になるほど、帰国後に同じ日本人同士での会話で失敗するケースも。気になる場合は、留学中でも定期的に日本語で会話をする相手や時間をつくるとよいでしょう。
まとめ
新しい言語の習得や、外国で友人をつくる機会を得られる海外留学は、人生の中でも、貴重な体験となるでしょう。留学先で乗り越えた困難や実績が就職活動などで役に立つなど、日本国内では実現できないメリットがあるため、機会があればチャレンジすることをおすすめします。
しかし同時に、留学は人によっては非常に高いハードルとなることも考えられます。自身のストレス耐性や対処法をしっかりチェックしておき、苦しい留学生活にならないように注意しましょう。
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