サステナブル(サスティナブル)とは?「持続可能」とはどういう意味なのか解説


近年、さまざまな情勢や環境の変化から世界中に拡がっている概念で、TVなどで「サステナブルな社会を作る」「経営理念にサステナブルを取り入れ始めた」といった言葉を聞く機会が増えてきました。

「サステナブル」という単語は、多くの理念・考え方を包括した少し複雑な価値観を指す言葉である――と言うことはあまり知られていません。今回は、「サステナブル」という単語が持つ意味や重要性について分かりやすく解説します。

サステナブル(サスティナブル)とは?

「持続可能な」という意味

サステナブルとは「永続的に機能を継続できるシステム」を指す言葉で、日本語に言い換えると「持続可能な」という形容詞になります。「維持・継続」という意味の「sustain」と「することができる」という意味の「able」を組み合わせた「sustainable」という英単語で、近年では英語圏以外でも使われ始めている単語です。

1987年の世界委員会で提起された概念

サステナブルは、1987年に「国連の環境と開発に関する世界委員会」が提唱した概念で、そこから徐々に浸透していきました。サステナブルが提唱された背景には、19世紀以降の急激な産業の発達によるさまざまな公害や大気汚染などの課題から、「このままでは数百年後・数千年後まで地球環境がもたないのでは」という議論がなされるようになったことが挙げられます。

主に環境問題関連で使われることが多い

サステナブルという単語は、主に環境問題を考える際に使われるようになりました。近年では、CO2排出量の急増による地球温暖化や、大量のプラスチックごみ廃棄などによる環境汚染が世界的な問題となっています。このような状況において、世界中がサステナブル(持続可能)であることを意識せざるを得ない現状となっているのです。

企業経営においてもサステナブルの考え方が使われている

サステナブルという考え方は、国家だけでなく企業経営においても求められつつあります。企業が社会や環境に責任を持ち、サステナブルな社会の発展を目指すことで信用や評価が高まり、それが将来的な繁栄につながるという考えがあるためです。

近年では、投資家などが環境保護や社会的な責任を重視する風潮も強まっています。市場競争の優位性を獲得するためにも、サステナブルな企業経営が必要であるという考え方は一般的になってきました。

SDGs(持続可能な開発目標)との関係

次に、サステナブルと同じく近年世界中で浸透しつつある「SDGs」との違いについて解説します。

SDGsは開発目標のことを指す

SDGsは「Sustainable Development Goals」を略した言葉。サステナブル(Sustainable)という単語を含んでおり、「持続可能な開発目標」のことを意味します。
主に「環境問題」や「飢餓・貧困」「あらゆる人種差別や性差への差別」など、現在社会に存在する複数の課題に対して”こういった状況になれば課題を解決したと言える”というゴールビジョンを設定したものです。

サステナブルは概念として使われる

SDGsは国連で掲げられた国際的な目標であり、「2030年までに達成すべき」というように期限が設定されています。

一方で、『サステナブル』はこれからの社会を継続させるために必要なことすべてを指す考え方・概念です。もし、将来的に現在SDGsに含まれる事柄がすべて解決した場合でも、世界に新たな課題が生まれる限り使われ続ける言葉と言えるでしょう。

サステナブルな考え方が使われている一例

私たちの生活に必要なさまざまなものごとにおいて、「サステナブルな考え方」による変化が起きている事例を紹介します。

サステナブルファッション

近年、ファッション産業において注目されている考え方に「サステナブルファッション」があります。服を作る工程において発生する環境負荷を下げるため、「原材料の見直し」「環境にやさしい生産方法の採用」「リサイクル・リユースによる服の再利用」を行う取り組みをとおして持続可能な社会を作るという考えです。

「サステナブルファッション』は、企業だけでなく消費者である私たちも責任を持って取り組むべきものと考えられています。「必要以上に服を買わない」「廃棄する際は資源として回収できる店舗に持ち込む」など、一人ひとりが行動を変えることが、ファッション産業の課題解決につながるでしょう。

サステナブル建築

サステナブルな考え方は、建築においても浸透してきています。「建物や家屋を建設する」ことは、私たちの生活において欠かせない要素の一つです。しかし、建物を建築するまでの工程で、「土地や建材の確保のための森林伐採」「作業に必要な重機が大量のCO2を発生させてしまう」などの点が環境破壊につながるという課題も抱えています。

これらの課題解決のため、作業現場における節電やCO2の削減対策、環境を破壊しない建材の採用を推進する企業が増えてきました。また、一つの建物を長く維持するための設計研究なども進んでいます。建設業界全体が、「建物を使う人々の快適性だけでなく、社会的な責任を果たすことも必要である」という意識に切り替わりつつあるようです。

ロハス(LOHAS)

「ロハス」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。「Lifestyles Of Health And Sustainability」の頭文字を取った言葉(LOHAS)です。日本語にすると、「健康的かつ持続可能な暮らし」という意味になります。

個人や家庭が健康や環境に配慮し、自然や文化を大切にしたライフスタイルを送ることを指しています。持続可能な未来のために、衣食住など暮らしにまつわるすべての物事に指針を持つ考え方です。社会的な問題を意識した「単なる節約ではなく、代替可能なもので豊かな暮らしを送る」ことを目的とした生き方であり、近年世界中で浸透しつつあります。具体的には、「サステナブルファッションを取り入れること」「食生活において環境に優しい企業の商品を選択すること」などです。

5R

ごみを減らすためのRで始まる行動を表す「5R」という概念も、サステナブルな社会を作るために必要とされています。

もともと、「reduce(ごみを少なくすること)」「reuse(ものを繰り返し使うこと)」「recycle(ごみを資源として使うこと)」の3つを指した3Rという概念がありました。サステナブルな考え方が注目されるようになった今日では、「refuse」「repair」という2つのRを加えて『5R』と言われるようになっています。

「refuse」は「ごみとなるようなものを断る」という考えで、レジ袋を使わずマイバッグを使うなどの行動を指します。

「repair」は「壊れたものを修理して使う」行動を指します。修理できるものであれば自分で修理する、もしくは修理をしてくれる商品を選ぶことでごみを減らすという考え方です。サステナブルファッションの取り組みとして、ほつれた服を直すような行動も「repair」の一環と言えるでしょう。

再生可能エネルギー

石油や石炭などの化石燃料を使ったエネルギーを、太陽光などの「再生可能なエネルギー」に変えることも、サステナブルな取り組みの一つです。

化石燃料を使った際に排出される温室効果ガスの量は年々増加しており、環境に大きな負荷を与えています。そんななかで、温室効果ガスを排出しないエネルギーとして注目されているのが、太陽光や風力、水力に地熱など自然界で生成されるエネルギーです。

これらのエネルギーは環境への負荷が少ないうえ、自然の力を利用しているため供給に限りがありません。化石燃料の課題である「いつか枯渇してしまう」という点を解決することができるという強みを持っています。

一方で、再生可能なエネルギーは「設備の建設コストが高い」「発電量が季節や天候に左右されてしまう」という点が課題です。これらの解決に向けた研究が進められています。

代替肉・植物肉

ほかに温室効果が問題となっているのは、私たちの食に関わる「畜産」です。私たちの食をまかなうには、多くの家畜を育成する必要があります。家畜が発生させるメタンガスは、世界の温室効果ガス排出量のうち約5.9%を占めると言われています。

そういった問題を解決するための案として注目されているのが、「代替肉」への移行です。代替肉は豆や小麦たんぱくなどを主原料とした「肉を代用する食品」で、近年で急速に開発が加速しています。原材料に植物由来のものを使う点から健康にも良いとされており、これから私たちの暮らしに浸透していくことが予想されます。

まとめ

あらゆる問題が顕在化しつつある今の時代において、「サステナブル」という考え方は、私たちが責任を持って真剣に取り組むべきものになっています。

一人ひとりの行動による変化は小さいかもしれませんが、小さな変化が将来まで積み重なることこそが「持続可能な社会の実現」につながります。まずは、身近にある取り組みを意識してみることから始めてみましょう。

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