TOEICとは?概要、スコアの目安、勉強法、資格としてのメリット


TOEICについて、英語の試験であることは知っていても、資格の位置づけや内容についてはあまりよく分からないという方も多いのではないでしょうか。TOEICは、大学生のうちにぜひ受けておきたい試験の一つです。

本記事では、そもそもTOEICとはなにかといった概要やスコアの目安、勉強法、資格を取るメリットなどについて解説します。

TOEICとは

TOEICとは「Test Of English for International Communication」の略で、直訳すると「国際コミュニケーションのための英語テスト」という意味になります。TOEICは非英語圏の人々を対象に、日常生活や仕事で必要な英語のコミュニケーション能力を測定するために行われます。特にビジネスシーンにおける英語力をはかる点に重きが置かれており、多くの企業や教育機関で英語力を判断する基準として利用されています。

TOEICについて

TOEICは英語のコミュニケーション能力を判定するテストで、日本では「一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会」によって運営されています。TOEICには5種類のテストがありますが、最も受験者数の多い「TOEIC Listening & Reading Test」を指してTOEICと呼ぶことが一般的です

この記事でも「TOEIC Listening & Reading Test」について説明します。

テストの構成

TOEICのテストは、リスニングとリーディングによって構成されています。それぞれ概要を見ていきましょう。なお、いずれも公式ページにサンプル問題が紹介されているので、ぜひ参考にしてみてください。

リスニング

時間45分
問題数100問
内容・写真描写問題(パート1)
・応答問題(パート2)
・短い会話(パート3)
・短い講話(パート4)

TOEICのリスニングはパート1からパート4まであり、音声に従って100問を45分で解く形式となっています。問題の形式はパートごとに異なります。例えばパート1は「写真描写問題」で、1枚の写真にまつわる4つの短い説明音声が流れ、その中から写真と合致する音声を選ぶ内容となっています。どのパートも設問は問題用紙に印刷されていますが、流れる音声の英文は印刷されていません。

リーディング

時間75分
問題数100問
内容短文穴埋め問題(パート5)
長文穴埋め問題(パート6)
読解問題(パート7)

TOEICはパート5、パート6、パート7がリーディングテストです。リーディングは100問を75分で解いていく形式で、一般的には最後のパート7が最も難易度が高いとされています。リスニング同様、問題の形式はパートごとに異なります。例えばパート5は「短文穴埋め問題」で、提示された文章の一部が空欄になっており、4つの選択肢の中から適切な回答を選択しなければなりません。

TOEICの日本における位置づけ

TOEICは英語力を判定する資格として、非常に注目度が高いです。海外に拠点がある企業をはじめ、多くの企業がTOEICのスコアを採用基準の一つとして考えているため、英語が必要なビジネスパーソンにとっては必須の資格といえます。また英語力の向上を目的としてTOEICの受験を推奨する学校も少なくありません。特に大学や専門学校では、TOEIC関連の授業やカリキュラムを設けているケースもあるほどです。

このように、TOEICは英語力を測定し、証明をするための重要な資格として、日本で広く認知されています。

TOEICの海外における位置づけ

TOEICは日本のみならず、世界160ヶ国、約14,000もの企業や教育機関で利用されているテストです。特に、日本や韓国などを始めとする、母国語が英語ではない国や地域で受験されています

しかし、英語圏におけるTOEICの有用性は決して高くはありません。その理由として、英語圏ではTOEFLやIELTSといった、TOEICよりも一般的な英語能力試験があり、それらが実践的な英語力を測定する基準となっているためです。

TOEICスコアの目安

TOEICには合否がなく、獲得するスコアが英語力の指標となります。スコアが高ければ高いほど英語力が高いとされ、就活などでアピールできます。以下で、TOEICスコアの目安について見ていきましょう。

スコアは990点が満点

TOEICのスコアは、リスニングとリーディングを合わせて990点満点です。10~990点の5点刻みで、TOEIC独自の統計的処理によって採点されます。また、TOEICでは数問回答ミスをしても満点が取れる可能性があります。これは、問題の難易度に合わせてTOEICがスコアを調整しているためです。例えば、受験者の大半が不正解となった問題は、回答を間違えても減点されない場合があります。

総合的なスコアの目安

TOEICのスコアは10点から990点の範囲内で採点され、受験者の英語能力を示すバロメーターとなります。TOEICで高得点を取ることは、洗練された英語コミュニケーション能力を有する証です。TOEIC公式サイトには、スコアと英語コミュニケーション能力レベルの関係を示す、詳細な相関表が掲載されています。表を参考に英語力の現状を把握し、目標スコアを設定するとよいでしょう。

レベルA:860

TOEICスコア860点以上のレベルAは「Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる」英語力とされています。ネイティブスピーカーとの会議や、海外出張での対応はもちろん、ビジネスシーンでのコミュニケーションや文章作成においても活躍できるレベルです。このレベルに到達すれば、外資系企業からTOEICスコアを理由に門前払いされる心配はほとんどありません。

レベルB:730

TOEICスコア730点以上のレベルBは「どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている」レベルです。このレベルに到達した人は、日常会話に困ることはなく、多岐にわたる話題に対応できるでしょう。英語を使用するビジネスシーンにおいても、一般的な企業が求める水準に十分達していると考えて問題ありません。また、国際的なビジネス環境においても、アピールできる英語力だといえるでしょう。

レベルC:470

TOEICスコア470点以上のレベルCは、「日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる」英語力とされています。最低限の基礎的な文法を身につけているレベルであるため、自分が伝えたいことをなんとか伝えることはできるでしょう。ただし、日常生活やビジネスの場において流暢な英語を話せるレベルにはありません。そのため、就活時に英語力をアピールしたい場合はさらに上のレベルを目指す必要があります。

レベルD:220

TOEICスコア220点以上のレベルDは「通常会話で最低限のコミュニケーションができる」英語力があることを示しています。このレベルの人は、簡単な文を理解した上で基本的な英語で返すことができますが、ネイティブスピーカーの流暢な会話を完全に理解するには至りません。英語の基礎を身につけていることはうかがえるものの、ビジネスシーンでの専門的なコミュニケーションは難しいため、このレベル以下の就活を行う場合は、資格欄にはスコアを記入しないほうが無難でしょう。

レベルE:220未満

TOEICスコア220点未満のレベルDは「コミュニケーションができるまでに至っていない」とされています。このレベルの人は、相手が単純な単語を使ってゆっくり話したとしても内容を理解するのは難しく、英語で意思疎通を図ることはできません。TOEICのテストを受けても、リスニングではなにを言っているのかまったく聞き取れず、リーディングでも単語の意味がほぼ分からないような状態です。

730または860が資格として有効なラインになる

TOEICは点数が高ければ高いほど、資格として大いにアピールできます。レベルAまたはB程度のスコアがあれば、英語力が一定以上あると判断されやすいため、まずはそのレベルを目指しましょう一方、点数が低いにもかかわらず履歴書に記載すると、応募先に英語力の低さを伝えることになってしまい、逆効果になりかねません。レベルB未満C以上の場合は、応募先企業の特性を見極めて適宜アピールしましょう。

効果的なTOEIC勉強法

TOEICで高得点を出すには、一朝一夕ではなく、効果的に勉強を進めることが大切です。リスニングとリーディングでは、それぞれどのようなポイントを押さえて勉強すればよいのでしょうか。

リスニング

日本では、日常生活で英語を耳にする機会があまり多くないこともあり、リスニングに苦手意識を持つ人は少なくありません。リスニングで得点を重ねるためには、リスニングの習慣作りやスピーキングとの併用、そして問題へ慣れることが大切です。

1.英語を聞く習慣を作る

TOEICのリスニングの勉強では、日常的に英語を聴く習慣を取り入れ、英語に耳を慣らすことが肝心です。英語のオーディオブックや海外ニュース、ポッドキャストなどを聴く時間を設けて、リスニング力を身につけましょう。英語音声のドラマや映画から発音を聞き取って慣らしていくのも効果的です。以下のツールやコンテンツなどを使って、英語を聴く機会をとにかく増やしましょう

  • 海外ニュース
  • 英語のポッドキャスト・ラジオ・オーディオブック
  • 洋画・ドラマ・YouTube
  • 洋楽

2.スピーキングもセットで行う

英語のシャドーイングも効果的です。シャドーイングとは、話者の発音やイントネーションを真似ながら自らも発声する英語の勉強方法で、発音の矯正や英語への慣れにつながります発音が難しい単語やフレーズに焦点を当てて、繰り返し練習をしてみましょう。ネイティブの発音を真似ることで、ナチュラルな発音が身につきます。

最初は好きな映画やポッドキャストなどの英会話からシャドーイングをして、慣れたらビジネス英語や日常会話など、さまざまなシーンで使われる英語で練習をしていくのがおすすめです。

3.とにかく問題パターンをこなす

問題パターンを数多くこなし、リスニングの問題形式に慣れることも大切です。世の中にはTOEICの対策ができるツールが多数あります。できるだけ多くの問題パターンをこなし、復習することで、リスニング力や試験でのパフォーマンスを向上させることができます。

リーディング

リーディングについては、リスニングよりなじみがある人は多いでしょう。しかし、TOEICの問題はレベルが高いため、対策をしなければあっという間に時間切れになってしまいます。リーディングの勉強のポイントを見ていきましょう。

1.単語を覚える

英語を覚えていく上で、単語の学習は基本です。リーディングやリスニングの勉強中に新しい単語に出会ったら、すぐに辞書で意味を調べ、使い方を理解する癖をつけましょう。単語を覚えるだけでなく、文脈までしっかり理解することで、単語への理解力が深まります。

2.フレーズを覚える

単語の学習同様に、知っているフレーズのパターンを増やすことも大切です。知っているフレーズが増えれば増えるほど、試験でも戸惑うことなく回答できるようになります。参考書や問題集などを活用し、多くのフレーズを自分のものにしましょう。

3.文法を学ぶ

英語のリーディング能力を向上させるためには、文法の理解が不可欠です。単語の組み合わせがフレーズを形成し、フレーズの組み合わせが文章を構成します。したがって、文法を学ぶことは、文章の構造を理解して意味を正確に把握するために重要です。

勉強方法としては、簡単な短編小説や短い記事から、基本的な文法構造に慣れていくのがよいでしょう。それが終わったら、次はより複雑な文法構造を含む長い文章へと、徐々に難易度を高めていくのがおすすめです。文法の学習を通じて、高度な読解力を身につけましょう。

4.長文読解力を強化する

TOEICでは、限られた時間内で、多数の長文を効率的に読解する能力が求められます。そのため、読解スピードと理解力を同時に向上させることが重要です。

勉強する際は、スキミング(文章の全体を大まかに読むこと)とスキャニング(特定の情報を探しながら読むこと)の技術を磨くことを意識しましょう。また、時間を計りながら文章を読む練習も、読解スピードを高めるのに効果的です。

勉強するためのツール

TOEICを勉強するにあたって、ツールを使いこなすことは重要です。参考書、公式問題集、学習アプリ、動画といった主要ツールについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

参考書

TOEICは日本ではメジャーな試験であるため、多くの参考書が発売されています。参考書はそれぞれ英語学習の工夫がされているため、基礎英語力の習得にはぴったりです。自分に合った参考書を選んで学習することで、効率よく勉強を進められるでしょう。

公式問題集

一定の基礎力を身につけた後は、公式問題集での実践をおすすめします。公式問題集には、テスト開発機関が実際のテストと同じプロセスで作成した問題が収録されています。実践の役に立つので、ぜひ活用しましょう。

学習アプリ

TOEIC向けのスマホアプリは種類が多く、コンテンツも充実しています。月額利用料のかかるものがほとんどですが、アプリのみで学習を完結できるほど内容が充実しているものが大半です。学習アプリを繰り返し活用することで、基礎的な能力が身につき、得点アップにつながるでしょう。

YouTubeなどの動画講座

最近はYouTubeを始めとした動画講座も公開されています。参考書や問題集が苦手な方は、動画であれば楽しみながら試験対策ができるかもしれません。

TOEICの資格としてのメリット

TOEICで高得点を獲得すれば、さまざまなシーンで有利になります。就活をはじめ、大学院受験や留学、海外旅行など、活用できる幅は広いです。一つずつメリットを見ていきます。

就職市場におけるTOEICの価値

必ずしも決め手になるわけではないものの、TOEICで高得点を獲得していれば、就職市場では一定の効果を発揮してくれることでしょう。外資系企業を始めとした英語が必須の企業はもちろん、それ以外の企業でも「TOEICでこれだけの高得点を得られるなら優秀だろう」とみなされ、選考が有利に進む可能性は高いです。

大学院受験で活用

大学院生は、英語で論文を読んだり書いたりする機会が少なくありません。そのため、大学院受験では英語力を測定するために一定以上のTOEICスコアが必要になるケースがあります。求められるスコアは大学院によって異なりますが、少なくとも600点以上は取っておきたいところです。

留学や海外旅行への影響

留学や海外旅行の際は、英語力があるに越したことはありません。英語力があれば、海外旅行時のコミュニケーションがスムーズになったり、生活で困る機会が少なくなったりするでしょう。しかし、留学においてはTOEFLやIELTSのような、TOEIC以外の英語資格が重視される傾向にあります。これらの試験は、アカデミックな英語能力をより詳細に測定するものであるため、留学先の大学や機関によっては取得が必須とされる場合もあります。

英語力の自信と自己成長

TOEICでは、スコアという具体的な数値で自分の英語力が測定できます。自身の現状を把握するためのツールとしては恰好といえるでしょう。また、TOEICは社会人となってからも受験できるため、学生時代から英語学習を続けていれば、スコアを通して自己の成長を感じられるかもしれません。

まとめ

TOEICは世界中で受験されている英語テストで、特に日本や韓国を中心に活用されています。TOEICで高得点を獲得すれば、就職や転職で有利になったり、留学や海外旅行によい影響を与えられたりする可能性が高まります TOEICに興味のある方は、本記事で紹介した勉強法を参考に、高得点の獲得に向けてさっそく勉強を始めましょう。

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